改訂新版 世界大百科事典 「コピウエ」の意味・わかりやすい解説
コピウエ
copihue
Chilean bellflower
Lapageria rosea Ruiz et Pav.
南アメリカのチリの原産でチリの国花となっているユリ科のつる性低木。頂部の節から紫紅色に桃色の斑紋のあるユリに似たらっぱ状の美しい花を下向きにつける。コピウエの名は現地名からきており,和名のツバキカズラは葉がツバキに似て光沢があり,花もツバキに似ていることによる。無毛の常緑低木で高さ5mくらいになる。葉は互生し,短い葉柄があり,卵状披針形で先がとがり長さ8~9cm,濃緑色で光沢があり革質で厚く,片側にそれぞれ2~3本の縦に走る葉脈がある。花は6弁でやや筒状をなし,内側の3枚は外側の3枚より長い。肉質で長さ7cmくらい。花に濃色のものから白色のものまで変異がある。めしべ1本,おしべ6本で葯は長い。野生種はチリ南部の森林地帯に見られ,夏の開花期の頃には花の咲いたつるを花輪のように束ね装飾用とする。属名のラパゲリアLapageriaはナポレオンの妃ジョゼフィーヌの旧姓ド・ラ・パジュリde la Pagerieに因んだものである。繁殖は実生または高温時の取木により,春に植えつける。冬は保温を必要とする。
執筆者:古里 和夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報