改訂新版 世界大百科事典 「コマンドル諸島」の意味・わかりやすい解説
コマンドル[諸島]
Komandorskie ostrova
太平洋とベーリング海の間にある諸島。カムチャツカ半島の東方約200kmにあり,ロシア連邦カムチャツカ州に属する。ベーリング島(85km×40km),メドヌイ島(56km×7km)ほか二つの小島よりなり,面積は合計1848km2。玄武岩と安山岩からなる火山島で,最高点は751m。月平均気温は2月-4℃,8月10℃,年降水量約500mm。地表は草地と山岳ツンドラで,谷に沿って背の低いナナカマド,シラカバやヤナギの疎林がみられる。海岸線は急崖で,夏に海鳥が多数営巣する。周辺は海食台地が発達し,コンブなどが繁茂する。住民は,警備隊員のほか,狩猟,漁労,アオギツネ飼育などに従事する。ベーリング島にニコリスコエ港がある。1741年,V.ベーリングを隊長とする探検隊により発見された諸島で,彼は帰路ベーリング島で死去した。同島には今も彼の墓地がある。諸島名のコマンドル(〈隊長〉の意)も,ベーリングを記念したもの。
執筆者:渡辺 一夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報