コンビニコーヒー(読み)こんびにこーひー

知恵蔵 「コンビニコーヒー」の解説

コンビニコーヒー

コンビニエンスストアのレジカウンターなどで販売されている、カップ入りのいれたてコーヒー。カウンターコーヒーとも言われる。2013年に業界最大手のセブンイレブンが本格参入し、同業他社ともに競って瞬く間に全国数万店を数えるコンビニ店頭で提供されるようになった。挽きたていれたてのコーヒーが100円台で手軽に飲めることから、消費者の好評を得て新たなコーヒー流通経路の登場として注目されている。
コンビニ店頭でのコーヒーサービスは、これまでにも何度か試みられた。数十年前にも、ポットから注ぎ分けるなどのサービスが提供されたが定着するには至らなかった。カップ入りの安価ないれたてコーヒーの嚆矢(こうし)は、ハンバーガーチェーンマクドナルドだとされる。08年に同社がアラビカ豆を使用した「プレミアムローストコーヒー」を格安の100円で売り出しヒットさせたことが、ブームの先駆けという。この成功を手掛かりに、コンビニ各社がサーバーなどによるコーヒー提供に乗り出した。ミニストップサークルKサンクスローソンなどに次いで、12年8月から一部店舗で先行販売していたセブンイレブンも、13年1月から「セブンカフェ」ブランドで参入。セブンイレブンは、同年9月までにセルフサービスのドリップ式マシンを全国店舗に投入し、2億杯を売り上げた。サンドイッチなどを同時に購入する顧客が多く、新たな売れ筋として売り上げ向上に大きく貢献したという。同年中には、日本の年間消費量480億杯(10月更新年度)の1%近い累計4億5千万杯を売り上げ、マクドナルドを大きく引き離してコーヒー販売量国内最多のチェーンとなった。
一躍ブームとなったコンビニコーヒーは13年度各社合計7億杯を超え、日経トレンディ誌の選ぶ「2013年ヒット商品ベスト30」でも首位となる。大手5社の14年度販売計画は合計13億杯と前年の2倍に迫る勢いである。
コンビニ大手3社(セブンイレブン、ローソン、ファミリーマート)の14年2月期決算は過去最高益となった。その原動力の一つがコンビニコーヒー及び店頭調理の揚げ物やサンドイッチなど軽食の販売だという。年中無休24時間オープンの小売物販店というコンビニの位置付けが、ファストフードサービスの領域にも大きな影響力を見せて広がり始めている。

(金谷俊秀 ライター/2014年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報