日本大百科全書(ニッポニカ) 「コンビニエンス・ストア」の意味・わかりやすい解説
コンビニエンス・ストア
こんびにえんすすとあ
convenience store
便利さ(コンビニエンス)を最大限に追求する小型のスーパーマーケット。日本では、「コンビニ」の略称が広く用いられる。食料品および日用品を中心に品ぞろえをし、交通に便利な場所に立地するものが多い。小規模なために欲しいものを探すのが容易で、年中無休、長時間営業(24時間営業が普通)、レジスターの待ち行列がない、などの便利さが特色である。
コンビニは、1960年ころのアメリカで、スーパーマーケットの補完形態として出現した。日本では、1974年(昭和49)に、アメリカの商号を用いた最初の店がつくられたが、POS(ポス)システム(販売時点情報管理システム)を駆使するなど独自のビジネスモデルの開発もあって急速に普及した。その経営形態には、直営チェーン店方式とフランチャイズ・システムによるものとがあるが、いずれも商品企画が優れているため、多数回配送と組み合わされて同規模の独立店よりも品ぞろえの密度が高い。スーパーマーケットの大型化による諸欠陥と法的規制(「大規模小売店舗立地法」など)を克服し、消費者にきめ細かく対応しようとする商法が消費者のニーズに適合し、生活のなかに浸透した。しかし、21世紀に入って出店が飽和状態に達するとともに、業績は伸び悩むようになり、系列再編の動きが加速している。
[森本三男]
『笠井清志著『ビジュアル図解 コンビニのしくみ』(2007・同文舘出版)』▽『鷲巣力著『公共空間としてのコンビニ――進化するシステム24時間365日』(2008・朝日選書)』