日本大百科全書(ニッポニカ) 「コール・サック」の意味・わかりやすい解説
コール・サック
こーるさっく
Coal Sack
南十字星に隣接する、角度で5度四方に広がった暗黒星雲のこと。たとえば、石炭袋を通して街の灯を見たとき、光はほとんど遮られてしまうが、一部袋の薄いところでは光がちらちら見える。その現象に似て、ほとんど背後の星の光を遮っているが、部分部分で星がちらちら見える暗黒星雲なので、コール・サック(石炭袋)と名づけられている。星の光が見えるところでも1等級から5等級までも光は弱められている。また、星の光をまったく通さない部分には、楕円(だえん)形の非常に暗い斑点(はんてん)が見られるが、これはコール・サックが星の卵(原始星)へ分裂しつつあるものと考えられている。
[池内 了]