日本大百科全書(ニッポニカ) 「サガスタ」の意味・わかりやすい解説
サガスタ
さがすた
Práxedes Mateo Sagasta
(1825―1903)
スペインの政治家。トレシーリャ・エンカメーロス(ログローニョ)で商人の子として生まれる。土木学を学んだのち、サモラの土木工事局長にあった1854年に進歩派蜂起(ほうき)を指導、コルテス議員に選ばれて政治家として頭角を現す。1856年に始まる穏健派政権期には政府批判を展開し、1866年のクーデターに加わり、失敗するとフランスに亡命した。1868年九月革命以後は内相、外相、首相を歴任したが、徐々に保守的傾向を強めた。王政復古体制ではカノバス・デル・カスティーリョと並んで体制を支え、1885年以降は政権交替制の下で、自由党を率いて数回にわたって首相となる。普通選挙制導入、陪審制導入など自由主義的制度改革を行い、1888年にバルセロナで万国博覧会を開くなど経済振興に努めた。しかし、後半はカタルーニャ・ナショナリズム運動、労働運動、植民地独立運動が高揚し、アメリカ・スペイン戦争で敗北するなど多難であった。政治とは妥協、危険回避の技術であるというのが信念であった。
[中塚次郎]