サチコン(読み)さちこん(その他表記)Saticon

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サチコン」の意味・わかりやすい解説

サチコン
さちこん
Saticon

テレビジョン用光導電型撮像管の商品名。セレンヒ素テルルを主成分としたカルコゲナイド系アモルファス半導体を光電変換膜に使用したもので、日本放送協会(NHK)と日立製作所が1972年(昭和47)に共同開発した。

 この撮像管はガラス基板に設けた透明導電膜上に多成分系アモルファス半導体の多層膜を重ねた傾斜成分分布型のヘテロ受光ダイオードの表面を電子線で走査するビジコン型撮像管であり、高解像度・低残像の優れた特性をもっている。

 1986年にNHKの谷岡健吉(1948― )によってサチコン技術をベースに、アバランシェ増倍型の超高感度撮像デバイス「HARP(ハープ)」(名称はHigh-gain Avalanche Rushing amorphous Photoconductorの頭文字からつけられたもの)が発明され、オーロラや深海魚など低照度の被写体の撮像に偉力を発揮している。

丸山瑛一

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サチコン」の意味・わかりやすい解説

サチコン
saticon

小型撮像管の一種。n型導電性の酸化スズ膜 ( SnO2 ) とp型導電性のセレン ( Se ) -ヒ素 ( As ) -テルル ( Te ) 系の非晶質半導体との異種接合から成る光導電膜を光電変換面に用いたもの。小型,高感度で,残像が少いとされている。日本 (NHKと日立製作所) で開発され,SeAsTeの頭文字から saticonと名づけられた。

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世界大百科事典(旧版)内のサチコンの言及

【撮像デバイス】より

…撮像管と比較して小型軽量,低電力,高信頼性などの長所があり,また,位置指定が正確にできることから各種の画像処理や観測など,新分野への応用も期待される。
[ビジコンvidicon,プランビコンplumbicon,サチコンsaticon]
 これらは代表的光導電形撮像管で,後2者はカラーテレビ放送用に広く使われている。 ビジコンは1950年にRCA社で開発されたSb2S3をターゲットに使用した撮像管で,放送用としてはフィルム送像に用いられた。…

※「サチコン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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