サトウダニ
Carpoglyphus lactis
世界に広く分布するサトウダニ科のダニ。欧米では乾燥果実や乳製品などに見られ,日本では粗製の砂糖やみそに多く見いだされる。第2次世界大戦後に輸入された砂糖に大発生して問題となり,この和名がつけられた。体長0.4mm内外。体は乳白色で,脚と顎体部がわずかに茶色。第2脚の基節条は左右が連結してW字形を呈し,第1脚の基節条もY字形で連なり,この特徴だけでも他種と容易に鑑別できる。しかし,幼ダニと若ダニでは基節条の連結がない。サトウダニは砂糖やみそに特異的に発生するが,精製された白砂糖だけでは繁殖しない。ある程度のタンパク質や脂肪が必要であり,至適繁殖条件は温度25℃,湿度75%でケナガコナダニと同じである。これらのダニ類が食品とともに経口的に摂取されて糞便とともに排出されることがある。
執筆者:金子 清俊
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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サトウダニ
さとうだに / 砂糖蜱
[学] Carpoglyphus lactis
節足動物門クモ形綱ダニ目コナダニ団サトウダニ科に属するダニ。体長0.38~0.42ミリメートルで、体は卵形で、体色は乳白色である。体毛は側枝がなく、後縁部に2対の長い毛があるが、ほかは比較的短い。顎体(がくたい)部はほかのコナダニに比べて細長い。成虫では第2脚(きゃく)の基節条が左右連結し、その中央部が第1脚の基節条に連結してW形をなすので、ほかのコナダニとは容易に区別ができる。日本ではヒポプス(移動若虫)は発見されていないが、いまのところポーランドから発見されている。世界各地に分布し、未精製の砂糖(赤砂糖、赤ざらめ)、みそ、乾燥果実に好んで発生し、ほかの食品にはほとんどみられず、砂糖でも精製した白砂糖にはみられない。人体内ダニ症の原因と考えられている。
[松本克彦]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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世界大百科事典(旧版)内のサトウダニの言及
【ダニ(蜱∥蟎∥壁蝨)】より
…家畜,家禽にもダニが多く寄生し,放牧地の牛馬にはマダニ,ニワトリ,ハト,小鳥には[ワクモ]やトリサシダニがつく。貯蔵食品にはコナダニ,ニクダニ,[サトウダニ]が発生し,なかでもケナガコナダニは食品以外に畳に大発生することがしばしばある。室内塵の中には[チリダニ](ヒョウヒダニ)が生息し,アレルギー性の気管支喘息の原因になることが判明した。…
※「サトウダニ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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