改訂新版 世界大百科事典 「サルビアーティ」の意味・わかりやすい解説
サルビアーティ
Salviati
生没年:1510-63
イタリアの中期マニエリスムの代表的フレスコ画家。本名デ・ロッシFrancesco de'Rossi。フィレンツェ生れ。アンドレア・デル・サルトの弟子。1531年同輩のバザーリとともにローマに行き,枢機卿G.サルビアーティの保護を受けその名を名のる。40年ころまでにその大画面の才能で著名となり,44年コジモ1世に招かれてフィレンツェのパラッツォ・ベッキョの装飾にあたり,48年ローマのファルネーゼ宮殿,53年ローマのサッケッティ宮殿と大広間の装飾に才筆をふるった。ラファエロの構成とミケランジェロの動勢とを折衷し,フィレンツェ派とローマのモニュメンタル様式の集大成を行い,16世紀のシャルル・ル・ブランとも呼ぶべき宮廷的大装飾画面の様式を完成した。典型的な〈マニエラ〉の達人というべきであろう。
執筆者:若桑 みどり
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報