さ渡る(読み)サワタル

デジタル大辞泉 「さ渡る」の意味・読み・例文・類語

さ‐わた・る【さ渡る】

[動ラ四]わたる。
雲間より―・る月のおほほしく相見し児らを見むよしもがも」〈・二四五〇〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「さ渡る」の意味・読み・例文・類語

さ‐わた・る【さ渡】

  1. 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙 ( 「さ」は接頭語。広い空間や時間を越えて移動する、渡るの意 )
  2. 空や水面を越えて行く。また、遠く離れたところを過ぎて行く。
    1. [初出の実例]「ひさかたの 天の香具山 利鎌(とかま)に 佐和多流(サワタル)(くび) 繊細(ひはぼそ)(たわ)や腕(がひな)を」(出典古事記(712)中・歌謡)
  3. こちらから向こうへ移る。また、向こうからこちらへくる。
    1. [初出の実例]「さりとも胸はいとおそろしき物をといふ程に、典薬さわたれば、こちいませと呼び給へば、ふとよりたる」(出典:落窪物語(10C後)二)
  4. 太陽や月が空を横切る。
    1. [初出の実例]「雲間より狭(さわたる)月のおほほしくあひ見し子らを見むよしもがも」(出典:万葉集(8C後)一一・二四五〇)
  5. 通り過ぎる。
    1. [初出の実例]「月の面(おも)を 佐和太流(サワタル)雲の まさやけく見る こさやけく見る」(出典:風俗歌(9C前‐11C中か)小車)

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