日本大百科全書(ニッポニカ) 「シアン化カルシウム」の意味・わかりやすい解説
シアン化カルシウム
しあんかかるしうむ
calcium cyanide
カルシウムのシアン化物。カルシウムシアナミド(石灰窒素の主成分)と炭素に融剤として塩化ナトリウムを加え、1000℃以上に加熱後、急冷して製造する。化学式Ca(CN)2、式量92.1。
CaCN2+C―→Ca(CN)2
無色の粉末で、水に容易に溶け加水分解する。酸によって分解しシアン化水素を発生する。350℃で分解しカルシウムシアナミドと炭素とに戻る。鉄(Ⅱ)塩と反応してヘキサシアノ鉄(Ⅱ)酸塩を与えるので、フェロシアン化カリウム(黄血塩)の製造に用いられる。そのほか金、銀の抽出(青化法)、殺虫剤などの用途がある。猛毒で、空気中の水分および二酸化炭素によってシアン化水素を発生するので、密栓して保存しておく必要がある。
[鳥居泰男]