CaCN2(80.10).炭化カルシウムCaC2を N2 中で強熱すると得られる.この反応は,空気中の窒素固定反応の最初の例である.純粋なものは無色の結晶.六方晶系で,ひずんだNaCl型の格子に,Ca2+ と直線形の [N-C-N]2- とが配列されている.N-C 1.22 Å.融点約1340 ℃.1150~1200 ℃ で昇華する.密度2.29 g cm-3.冷水と反応してNH3とCaCO3になり,熱水と反応してジシアンジアミド (NCNH2)2 になる.強アルカリ水溶液と反応して尿素を生じる.石灰窒素(灰色の粉末)は,CaCN2とCの混合物である.窒素肥料として,基肥に用いられる(土中で水分と反応して,まずジシアンジアミドとなり,数週間でさらに尿素と炭酸アンモニウムとになり,窒素肥料としてはたらく).しかし,このジシアンジアミドは植物に有害であり,速効が求められる追肥などには不適当である.一方,このジシアンジアミドの毒性を利用して,除草,殺菌,消毒などにも用いられる.そのほか,ジシアンジアミドやメラミンの合成原料,鋼の焼入れなどに用いられる.[CAS 156-62-7]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
化学式CaCN2。シアナミドNH2-CNのカルシウム塩とみなすこともできる物質で,工業的にはカルシウムカーバイドCaC2を電気炉中で窒素を通じながら1000℃付近に熱して製造される。
CaC2+N2─→CaCN2+C
この反応の生成物は炭素(黒鉛)が混合しているので灰黒色を呈し,石灰窒素と呼ばれる。これから冷水でカルシウムシアナミドを抽出することができる。カルシウムイオンCa2⁺とシアナミドイオン[N=C=N]⁻から成る無色六方晶系の固体で,融点約1300℃,比重2.29。冷水に溶け,溶液中で徐々に(熱すれば速やかに)分解してアンモニアを生ずる。
CaCN2+3H2O─→2NH3+CaCO3
石灰窒素は重要な窒素肥料であるが,これは地中でこの反応によってアンモニアを生ずるためである。石灰窒素には化学工業原料としての用途もある。
→石灰窒素
執筆者:曽根 興三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
石灰窒素の主成分。炭酸カルシウムまたは酸化カルシウムに、600~850℃でアンモニアと一酸化炭素とを反応させると得られる。工業的には、細粒ないし粉末状の炭化カルシウムを、窒素気流中で約1000℃で加熱する方法がとられる。
CaC2+N2―→CaCN2+C
この場合は黒鉛状の微粉末炭素を副生するので、生成物は黒色を呈する。この混合物を石灰窒素という。純粋なものは無色の固体。水に溶け徐々に加水分解されてアンモニアと炭酸カルシウムとになる。
CaCN2+3H2O―→2NH3+CaCO3
加熱によりこの分解は促進される。強アルカリ水溶液と反応して尿素を生成し、高温では炭素と作用してシアン化カルシウムを生ずる。石灰窒素は殺菌・殺虫作用をもつ塩基性の肥料である。また、各種化学薬品、医薬、農薬などの製造原料としても利用される。
[鳥居泰男]
カルシウムシアナミド
CaCN2
式量 80.1
融点 ~1300℃
沸点 ―
比重 2.29(測定温度20℃)
結晶系 六方
昇華点 1150℃
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…カルボジイミドHN=C=NHと互変異性をなす。カルシウムシアナミドCaNCNを水と反応させ二酸化炭素を通じるとシアナミド水溶液が得られる。これを硫酸で中和して濃縮すると,無色の針状結晶として析出する。…
※「カルシウムシアナミド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新