カルシウムシアナミド(読み)かるしうむしあなみど(英語表記)calcium cyanamide

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カルシウムシアナミド」の意味・わかりやすい解説

カルシウムシアナミド
かるしうむしあなみど
calcium cyanamide

石灰窒素の主成分。炭酸カルシウムまたは酸化カルシウムに、600~850℃でアンモニアと一酸化炭素とを反応させると得られる。工業的には、細粒ないし粉末状の炭化カルシウムを、窒素気流中で約1000℃で加熱する方法がとられる。

  CaC2+N2―→CaCN2+C
この場合は黒鉛状の微粉末炭素を副生するので、生成物は黒色を呈する。この混合物を石灰窒素という。純粋なものは無色固体。水に溶け徐々に加水分解されてアンモニアと炭酸カルシウムとになる。

  CaCN2+3H2O―→2NH3+CaCO3
加熱によりこの分解は促進される。強アルカリ水溶液と反応して尿素を生成し、高温では炭素と作用してシアン化カルシウムを生ずる。石灰窒素は殺菌・殺虫作用をもつ塩基性肥料である。また、各種化学薬品、医薬、農薬などの製造原料としても利用される。

[鳥居泰男]


カルシウムシアナミド(データノート)
かるしうむしあなみどでーたのーと

カルシウムシアナミド
  CaCN2
 式量  80.1
 融点  ~1300℃
 沸点  ―
 比重  2.29(測定温度20℃)
 結晶系 六方
 昇華点 1150℃

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