改訂新版 世界大百科事典 「シエテパルティダス」の意味・わかりやすい解説
シエテ・パルティダス
Las siete partidas
カスティリャ王アルフォンソ10世(賢王)の立法の一つ。七部法典と訳される。1256年から約10年の間につくられた。執筆者は明らかでないが,ジャコブス・ルイス,ロルダン,フェルナンド・マルティネスの可能性が大きい。内容はユスティニアヌス法典と教会法が中心で,ボローニャ法学校の研究成果を忠実に再生したものである。この七部法典によってカスティリャは中世イベリア諸国の中で最初に普通法を継受した。編別は七つの部partidaからなり,全体は2700以上の法律をもって構成される。各部の内容は法一般・教会法,公法,訴訟法・所有権,親族関係,債権法・海法,相続法,刑事法である。フェルナンド3世,アルフォンソ10世の父子王は国土回復戦争を強力に進展させるとともに,局地法乱立のため混沌状態にあったカスティリャの法を統一せんとして西ゴート王国の法典の翻訳(フエロ・フスゴ(リーベル・ユディキオルム))あるいは新立法(フエロ・レアル,シエテ・パルティダス)に意を注いだが,パルティダスはアルフォンソ10世の存命中には法律としての効力を生ずることがなかった。1348年アルフォンソ11世の時代に法源の適用順位を定めたアルカラ法がはじめてこれに法律の効力を与えたが,法源の最下位に置くにすぎなかった。しかし実際の運用にあたっては,法曹が上位の法源を無視して援用したために,時代を経るにつれて実質的にはパルティダスがカスティリャ法の主要法源となった。
→ローマ法の継受
執筆者:山田 信彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報