日本大百科全書(ニッポニカ) 「シジュウカラガン」の意味・わかりやすい解説
シジュウカラガン
しじゅうからがん / 四十雀雁
Aleutian Canada goose
[学] Branta canadensis leucopareia
鳥綱カモ目カモ科の鳥。全長約67センチメートル。カナダガンの中形の1亜種で、下頸(かけい)の白頸輪が特徴である。以前は、アッツ島からアトカ島までのアリューシャン列島、カムチャツカ半島、北千島に繁殖し、カリフォルニアまでと日本へ渡り越冬した。その後、1920年から1930年にかけてのアオギツネのアリューシャン列島への放獣によって急激に減少し、日本にも渡来しなくなったが、キツネが放されなかったブルディル島にのみ約200つがいが生き残った。越冬地のカリフォルニアでの銃獲禁止が功を奏し、越冬群は、1975年春の790羽から、1977年秋には1600羽へと急増した。日本にも近年単独で渡来し始めている。さらにアメリカ政府は、アリューシャン列島のキツネの駆除と、カリフォルニアでの本種の人工増殖を企画実施し、キツネを駆除したアリューシャンの島へもふたたびこの鳥を移すことに着手しており、日本にもアメリカで人工繁殖した数羽が送られ、繁殖の試みがされている。
[黒田長久]