日本大百科全書(ニッポニカ) 「カモ目」の意味・わかりやすい解説
カモ目
かももく
鳥綱の1目。ガンカモ目(雁鴨目)ともいう。この目Anseriformesは、ガン、ハクチョウ、カモなどを含むカモ科Anatidaeと、3種のサケビドリを含むサケビドリ科Anhimidaeとよりなる。カモ科は世界的に分布するが、サケビドリ科は南アメリカの特産。カモ科とサケビドリ科の関係はかならずしも明らかでないが、カモ科のカササギガンとサケビドリの間には外形態的にも解剖学的にも若干の類似点がある。カササギガンはカモ科のなかでいちばん陸上生活に適応し、水かきは痕跡(こんせき)的である。また風切(かざきり)羽は順次抜け換わるため、他のカモ科の鳥のように、無飛力の期間がない。カササギガンを除いたカモ科の鳥は、足によく発達した水かきがあり、水辺または水上で生活する。カモとハクチョウ類の多くは遊泳または潜水して餌(えさ)をあさるが、ガン類は主として水辺で採食する。カモ科の鳥の特徴の一つとして、嘴縁(しえん)に板歯とよばれる櫛歯(くしば)状構造があるが、これは淡水ガモのような濾過(ろか)採食のものでとくによく発達し、アイサ類では鋸歯(きょし)状となる。食物は、淡水ガモとガン類は主として植物質をとり、海ガモは小魚および貝などの無脊椎(むせきつい)動物を好む。アイサ類は潜水して魚をとる。カササギガン以外のものは、風切羽が一時に抜け換わるため、換羽中の数週間は飛べない。カモ目の雛(ひな)はすべて早成性で、綿羽で完全に覆われている。一部の学者は、カモ目に比較的縁が近いのはキジ目と考えているが、その反対の意見もある。
[森岡弘之]