カナダガン(英語表記)Branta canadensis; Canada goose

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カナダガン」の意味・わかりやすい解説

カナダガン
Branta canadensis; Canada goose

カモ目カモ科。全長 75~110cm。頭と頸は黒色で,腮(さいあご)から眼の後ろにかけて顕著な太帯の模様がある。背面と下面は灰褐色。以前は同種,あるいは亜種とされていたシジュウカラガン B. hutchinsii は,体は小さいが似ており,本種の小型の亜種とは区別が難しい。アラスカ半島から東はカナダ北部,南はアメリカ合衆国中部にかけての地域と,ヨーロッパ北部で繁殖し,水路沿いの草原ツンドラなど開けた草地で営巣する。北アメリカ北部で繁殖する鳥はアメリカ南部,メキシコ北部に渡って越冬する。ヨーロッパでは留鳥。日本では本州中部でわずかに繁殖しているが,これは飼育されていた鳥が逃げて野生化したものと考えられている。(→ガンカモ類

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カナダガン」の意味・わかりやすい解説

カナダガン
かなだがん
Canada goose
[学] Branta canadensis

鳥綱カモ目カモ科の鳥。北アメリカを代表するガンで大小12亜種があり、越冬地では大群をつくる。狩猟種としても親しまれている。全長約57~100センチメートル。頸(くび)が黒色で頬(ほお)が白く、嘴(くちばし)と足は黒い。体部は亜種により淡色型と暗色型とがある。シジュウカラガンの和名でよばれる1亜種がアリューシャン列島に繁殖し、少数が日本にも渡来したことがあったが減少し、最近では迷鳥となった。

黒田長久

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知恵蔵mini 「カナダガン」の解説

カナダガン

鳥綱カモ目カモ科に属する北米原産の大型のガン。全長約60センチ~110センチ、体重2.3キロ~6.8キロ。背面が薄茶色、胸から腹は白~灰褐色であり、首から頭部の黒色、頬・胸元白色が目立つ。日本には生息していなかったが、1985年に静岡県富士宮市で初めて発見されその後、関東、中部地方、他各地に定着。2010年には国内での確認数が約100羽となり、急激な繁殖により在来のガンとの交雑や食害が懸念されるようになり、同年から市民団体などが駆除を始めていた。14年には特定外来生物に指定され、15年12月8日、環境省は国内のカナダガンを全て駆除したと発表。日本で特定外来生物の根絶に成功したのは初となる。

(2015-12-10)

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