化学辞典 第2版 「シフト試薬」の解説
シフト試薬
シフトシヤク
shift reagent
NMRスペクトルにおいて,試料溶液に適当な常磁性金属錯体を添加すると,試料のシグナルの化学シフトが大きく変化し,スペクトルの解析が容易になる場合がある.この目的で用いられる金属錯体をシフト試薬とよび,一般にランタノイド系錯体が用いられる.シフト試薬が試料分子の特定部位で錯体を形成し,主として擬コンタクトシフトによる機構で化学シフトの変化が起こる.キラルな試料に対して光学活性な配位子をもつシフト試薬を用いると,鏡像異性体によってシフトの大きさが異なるので,試料の光学純度を決定することができる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報