シペラス(読み)しぺらす

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シペラス」の意味・わかりやすい解説

シペラス
しぺらす
[学] Cyperus

カヤツリグサ科(APG分類:カヤツリグサ科)カヤツリグサ属の総称一年草または多年草で、熱帯から温帯に約700種あり、日本には30種が分布する。よく栽培されるカミガヤツリC. papyrus L.は、古代エジプトで、茎の繊維からパピルス紙をつくったことで知られている。茎は三稜(さんりょう)形で直立して高さ2~3メートルとなり、頂部に傘状に花枝が群生する。地中海沿岸地方の湿地に野生し、熱帯アフリカにも分布する。このほか、シュロガヤツリはマダガスカル原産で、株元から叢生(そうせい)し高さ0.6~1.2メートルとなり、頂部の総包片は線状の剣形を呈する。この変種白色の斑(ふ)が入るフイリシュロガヤツリがある。

 鉢植えにしたものを水がめや水盤に沈め、株元2~3センチメートルが水中にあるようにする。性質は強いが、日によく当てるようにし、冬は5℃以上で育てる。

[坂梨一郎 2019年7月19日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シペラス」の意味・わかりやすい解説

シペラス
Cyperus; cypress grass

カヤツリグサ科シペラス (カヤツリグサ) 属の総称。世界の熱帯から温帯にかけて約 700種が分布し,一部が観賞用や繊維植物として利用されている。茎に節はなく,大半は断面が三角形。シュロガヤツリ C.alternifoliusはマダガスカル原産で,高さ 60~200cmになる多年草。茎頂に黄緑色の花穂をつけ,線形の包が傘状になる。古代エジプトでパピルスの原料にされたカミガヤツリは草丈 1.5~2.5mに達し,茎頂に細かく分岐する糸状の花軸が,多数垂れ下がる。小型種としては,草丈 20~30cmのシペラス・アルボストリアツス C.albostriatusがある。よく日に当てて育てる。湿地性であるが,ひどく乾燥させなければ普通の鉢栽培で育てられる。3℃以上あれば越冬できる。

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世界大百科事典(旧版)内のシペラスの言及

【パピルス】より

…エジプトは,国の大部分が砂漠で木に乏しいため,パピルスの茎は紙作り以外に,繊維から布地を作ったり,また茎をたくさん束ねて,ちょうどチチカカ湖のトトラ・ボートのような小舟を作った。 パピルスは美しい姿をしているため,それに類似した形のシュロガヤツリC.alternifolius L.(カラカサガヤツリ),C.diffusus Vahlや,より小型のカヤツリグサ類のオオミズハナビC.pulcher Poir.,ヒメカミガヤツリC.prolifer Lam.などは,園芸家のいわゆるシペラス類として,温室内の観賞植物になっている。第2次大戦後,沖縄に帰化したメリケンガヤツリC.evagrostis Vahlは熱帯アメリカ産のパピルスに似た大型カヤツリグサである。…

※「シペラス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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