山川 世界史小辞典 改訂新版 「シャークタ派」の解説
シャークタ派(シャークタは)
Śākta[サンスクリット],Shaktism[英]
ヒンドゥー教のタントリズムの一つ。ヴェーダの宗教は男性神が中心であったが,基層文化では女神崇拝が盛んであったと推測される。六派(ろっぱ)哲学のサーンキヤ学派では,動的女性原理が世界創造にかかわった。この女性の力をシャクティと呼び,特定の女神と結びつけて崇拝するタントリズムの一派をシャークタ派と呼ぶ。初期の10世紀頃の文献はヤーマラ(一対)と呼ばれ,男性配偶神と女神の結合の状態の獲得をめざした。シャークタ派の伝承は組織化され,東西南北と上下の六つの伝承(アームナーヤ)などに分けられ,北の伝承はシュリーの家とカーリーの家に分けられた。それぞれの伝承はサンスクリット以外の地方語でも多くの文献を残し,今日にまで至る。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報