シュウェンクフェルト(その他表記)Kaspar von Schwenckfeld

改訂新版 世界大百科事典 「シュウェンクフェルト」の意味・わかりやすい解説

シュウェンクフェルト
Kaspar von Schwenckfeld
生没年:1489-1561

宗教改革に同調したドイツの神学者,神秘思想家。シュレジエン貴族の出で,ケルンフランクフルトアン・デル・オーデルで学んだのち,リーグニツ(現,ポーランドレグニツァ)のフリードリヒ2世の宮廷顧問官となり,みずからルターに共鳴してフリードリヒ2世を彼に導く。倫理面を強調するとともに,聖餐論でも象徴主義に傾き,ルターから離れる。1529年宮廷を去り,まずシュトラスブルク,次いでアウクスブルクウルムに移り,とくにルター派神学者にくり返し攻撃され,異端とされてからは南ドイツの貴族や個人にかくまわれて各地を転々とし,ウルムで死去。心霊を強調する主張は著作によって後世にも影響を与え,今もアメリカ合衆国に共鳴者がいる。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シュウェンクフェルト」の意味・わかりやすい解説

シュウェンクフェルト
Schwenckfeld, Kaspar von

[生]1489. オシッヒ
[没]1561.12.10. ウルム
ドイツの宗教改革者,説教家。 1505年ケルン,07年フランクフルトの各大学で学んだ。初めルターに接近したが相いれず,カトリックとルター派の中道宗教改革運動をシュレジエンで展開。真の教会は目に見えない霊的なものであると主張,また宗教上の自由を高揚した。権力圧迫により 29年シュトラスブルクに転出したが,そこでもプロテスタント正統派と対立。アウクスブルク,テュービンゲン,ウルムなどを転々と逃れ歩いた。その追従者たちは正統派を離れ,小協会や兄弟団を設立したが迫害され,北アメリカのペンシルバニアに渡った。シュウェンクフェルト協会が 1782年に設立され,フィラデルフィアを中心とする今日の同名の教会の前身となった。『全集』 Corpus Schwenckfeldianorum (19巻,1907~61) 。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android