シュレジエン(英語表記)Schlesien; Silesia

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シュレジエン」の意味・わかりやすい解説

シュレジエン
Schlesien; Silesia

シレジアとも呼ばれる。中部ヨーロッパのオーデル川上・中流域の地名。現在大半ポーランド領 (ポーランド名シロンスク) で,一部はチェコ領。山がちだがオーデル河畔の低地肥沃で,農業,牧畜などが盛ん。地下資源も豊かで,石炭鉄鉱亜鉛などを産出するので,歴史上常に紛争の中心であった。地名はバンダル族の一部族名に由来しているが,中世以来ボヘミア,ポーランドの勢力下にあった。しかし 12世紀以後ドイツ人の入植が盛んになり,急速にドイツ化した。ウロツワフ (ブレスラウ) はドイツ人の建設した都市で,ハンザ同盟にも加わり,商業の中心であった。 16世紀からはボヘミアとともにオーストリアのハプスブルク家の支配下におかれたが,18世紀オーストリア継承戦争の際,プロシアのフリードリヒ2世が侵入,オーストリアの数次にわたる奪回の意図もむなしく,プロシア領となった。 19世紀後半には商工業が発展し,プロシアで最も富裕な地となった。第1次世界大戦後の 1921年その帰属を決めるため,ベルサイユ条約に基づく人民投票が行われ,住民過半がドイツへの帰属を希望したが,上シュレジエンはポーランドに帰属することになり,ドイツ人を憤慨させた。第2次世界大戦の結果オーデル川,ナイセ川の線が国境とされシュレジエンの大半はポーランド領となった。 50年東ドイツが,70年には西ドイツ政府もこれを承認した。今日,シュレジエンはポーランド重工業の中心となり,ポーランド全体の 50%以上の鉄鋼生産,また各種の化学工業も発展している。

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