ドイツ南西部,バーデン・ビュルテンベルク州の都市。人口11万6103(1999)。8世紀後半にドナウ川の渡河地点に設けられた軍事的基地に端を発し,854年には王宮所在地として文献にあらわれる。11世紀には宮廷会議がしばしば開催され,シュタウフェン朝の下でシュワーベン地方の中心的都市となった。1163-81年の間に都市法を獲得,14~15世紀には経済的・文化的最盛期を経験,シュワーベン都市同盟や宗教改革期のシュワーベン同盟のなかで指導的役割を果たした。1802年バイエルンに占領され,10年以降ビュルテンベルクに属し,19世紀末までは軍事的拠点の性格が強かった。麻織物の伝統に連なる繊維産業や金属加工業をもち,1967年には大学も新設された。
執筆者:魚住 昌良
ドイツの代表的なゴシック建築。1377年にハレンキルヘとして起工されたが,92年よりエンジンゲンUlrich von Ensingenにより西塔をそなえる3廊式バシリカに改変された(その後5廊式となる)。西正面の大尖塔は15世紀末にベブリンガーMatthäus Böblingerが着工し,16世紀中葉から3世紀間の中断の後,1890年にようやく完成した。大尖塔は高さ161mで世界最高。なお,ウルムは活版の挿絵本(例えば15世紀の《イソップ物語》)の出版地としても知られる。
執筆者:越 宏一
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ドイツ南部、バーデン・ウュルテンベルク州の都市。ドナウ川の左岸、支流のブラウ川との合流地点にある。人口11万7200(2000)。対岸はバイエルン州に属するノイ・ウルムNeu-Ulm(人口5万0200)。北側には、緩い起伏のシュワーベン・アルプスの丘陵地が広がる。中世には、ドナウ川沿いの交易路とドイツを南北に貫く交易路の通過地として栄え、神聖ローマ帝国直轄都市であった。とくに14~15世紀には、商工業に加えて芸術や印刷術も栄えた。161メートルの高さを誇るウルム大聖堂(1890完成)は有名。工業では、自動車、電気機器、金属、繊維、衣料品などに特色がある。医学・自然科学系大学(1967)や環境計画研究所(1969)のほか、各種教育施設も立地する。
[朝野洋一]
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