ウルム(読み)うるむ(英語表記)Ulm

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウルム」の意味・わかりやすい解説

ウルム
Ulm

ドイツ南西部,バーデンウュルテンベルク州の都市。州の東縁,ドナウ川左岸に位置し,対岸にはバイエルン州ノイウルムがある。バイエリッシェアルペンからのイラー川,シュウェービッシェアルプからのブラウ川がドナウ川に流入する地点にあり,町はドナウ川渡河点に成立。854年に王領として記録に現れ,12世紀に都市権を獲得。その後帝国直轄都市,交通の要地を占める商業都市として繁栄。16~17世紀には三十年戦争などの結果衰退し,1802年にバイエルン領,1810年にウュルテンベルク領となったが,20世紀中頃から工業および商業が急速に発展し,上シュウェーベン地方の経済の中心地となった。第2次世界大戦では大きな被害を受けたが,重要な建造物は大部分が修復された。高さ 161mの尖塔をもつゴシック様式ウルム大聖堂(1377着工,1890修復完工)は戦災を免れ,ほかに 1370年建築の市庁舎,1594年建築の穀物取引所などがある。工業では自動車,機械,電機などの製造業が盛ん。人口 12万2801(2010)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウルム」の意味・わかりやすい解説

ウルム
うるむ
Ulm

ドイツ南部、バーデン・ウュルテンベルク州の都市。ドナウ川の左岸、支流のブラウ川との合流地点にある。人口11万7200(2000)。対岸はバイエルン州に属するノイ・ウルムNeu-Ulm(人口5万0200)。北側には、緩い起伏のシュワーベンアルプスの丘陵地が広がる。中世には、ドナウ川沿いの交易路とドイツを南北に貫く交易路の通過地として栄え、神聖ローマ帝国直轄都市であった。とくに14~15世紀には、商工業に加えて芸術や印刷術も栄えた。161メートルの高さを誇るウルム大聖堂(1890完成)は有名。工業では、自動車、電気機器、金属、繊維、衣料品などに特色がある。医学・自然科学系大学(1967)や環境計画研究所(1969)のほか、各種教育施設も立地する。

[朝野洋一]

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