日本大百科全書(ニッポニカ) 「シュネーデル」の意味・わかりやすい解説
シュネーデル
しゅねーでる
Gérard Schneider
(1896―1986)
フランスの画家。スイスのサント・クロワに生まれ、フランスに帰化する。1916年にパリに出、18年まで装飾美術学校で、ついでエコール・デ・ボザール(国立美術学校)で学ぶ。一時帰国後、24年にパリに定住。後期印象派、キュビスム、シュルレアリスム、さらには表現主義と近代美術のあらゆる探究を試みたのち、44年ころから抽象に転じる。最初は一種の表現主義的な残像もあったが、まもなく真の抽象に向かった。彼の芸術は形態と色彩との創意に富んだ吟味であり、彼は画布に起点となるものを描き出し、ついでそこに本質的に内在する無限の可能性を展開する。彼にとって、外界の自然を想起させるものはすべて真の表現を妨げるものであり、排除しなければならない。「抽象芸術とは、あらゆる外界の影響から解放された状態だと思う。画家は画布の前に立ったとき、自分のなかにある名づけようのないものを解放する」と彼はいう。
[大森達次]