日本大百科全書(ニッポニカ) 「シュブルール」の意味・わかりやすい解説
シュブルール
しゅぶるーる
Michel Eugène Chevreul
(1786―1889)
フランスの有機化学者。パリの自然史博物館で化学を学び、化学教授となった。1826年よりパリ科学アカデミー会員。初めは脂肪に関する研究を行い、脂肪はアルカリでのけん化によって脂肪酸とグリセリン(グリセロール)に分かれることをみいだし、ステアリン酸その他いくつもの脂肪酸を分離した。1824年にゴブランの染色工場の主監となったことから染色の研究も始め、ついで色彩そのものに興味をもち、『色彩の同時対照および組合せの法則について』(1839)を執筆した。彼によれば、色彩の効果は、使われる顔料そのものよりもむしろ隣接するものの色合い、つまりコントラストによるほうが大きい。この研究は科学的というより経験的なもので、後の新印象派(点描派)のG・スーラに影響を与えた。シュブルールの関心は広く、科学方法論や心霊現象に関する本も著した。科学者の間では珍しい彼の記録的長寿は有名である。
[吉田 晃]