ステアリン酸(読み)すてありんさん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ステアリン酸」の意味・わかりやすい解説

ステアリン酸
すてありんさん

生体内にみいだされる高級飽和脂肪酸一種で、C17H35COOHの化学式をもつ。分子量284.5、融点69.6℃。常温白色の葉状結晶。他の高級脂肪酸と同様に、水に不溶、有機溶媒に可溶。グリセリドを構成するさまざまの脂肪酸のなかの主要成分であり、とくにウシヒツジの脂肪(固体)に含量が高く、植物油(液体)にはほとんどみいだされない。せっけんは油脂をカ性ソーダでけん化してつくるので、その主成分はステアリン酸のナトリウム塩である。また、オレイン酸の水素添加反応によってステアリン酸が得られる。ステアリン酸とパルミチン酸との混合物は、ろうそく、軟膏(なんこう)、化粧用クリームなどの原料として広く用いられる。

[若木高善]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ステアリン酸」の意味・わかりやすい解説

ステアリン酸
ステアリンさん
stearic acid

オクタデカン酸ともいう。化学式 C17H35COOH 。天然油脂 (特に牛脂) 中にグリセリンと結合して存在する代表的な直鎖式飽和脂肪酸。白色葉状晶。凝固点 69.4℃,融点 72℃。天然油脂をメチルエステルに変えて分留し,ステアリン酸メチルを集め,鹸化してつくられる。石鹸,界面活性剤,ろうそく,ゴムの加硫促進剤などの原料となる。工業的にステアリン酸というときは,ステアリン酸とパルミチン酸を主体とする固状の脂肪酸混合物をさす。軟膏や香粧品の製造原料である。

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