日本大百科全書(ニッポニカ) 「シュードタキライト」の意味・わかりやすい解説
シュードタキライト
しゅーどたきらいと
pseudotachylite
pseudotachylyte
断層に沿って急激なずれ(運動)が生じると、摩擦熱が発生して岩石の一部が溶融し、周辺の岩石中に脈として入り込む。これが冷却・固結したものをシュードタキライトという。タキライトという玄武岩質ガラスに似ていたことから、シュードpseudo(偽の)タキライトtachyliteの名前がつけられた。シュードタキライトの化学組成は、基本的に周辺の岩石の組成と同じである。このような急激な断層運動が生じる場合は地震が発生することが分かっているので、シュードタキライトは別名「地震の化石」とよばれている。1980年代以降、日本でも領家帯(りょうけたい)などでその存在が明らかにされ、愛媛県八幡浜(やわたはま)市大島で発見されたシュードタキライトは、2004年(平成16)に国の天然記念物に指定された。
[村田明広]