シューメーカー‐レビー第9彗星(読み)しゅーめーかーれびーだいきゅうすいせい(英語表記)Shoemaker-Levy9

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

シューメーカー‐レビー第9彗星
しゅーめーかーれびーだいきゅうすいせい
Shoemaker-Levy9

1993年3月アメリカのパロマ山天文台でシューメーカー夫妻(ユージーンEugene Merle Shoemaker、1928―1997とキャロラインCarolyn Shoemaker、1929―2021)とレビーDavid H. Levy(1948― )が発見した9番目の彗星。初めから約20個の彗星に分かれ、1列に並んで進んだ。軌道を過去にさかのぼってみると、元の彗星はこの前年木星に極端に近づいている。そのとき木星の潮汐力(ちょうせきりょく)のため分裂したらしい。1994年7月、軌道上の別の場所で再度木星に近づき、16日から22日まで順次木星に衝突した。次々と光り、木星の表面にきのこ雲をつくって消えた。この彗星は近日点(太陽にいちばん近づく位置)が木星軌道のすこし内側にあって、それより中まではやってこなかった。近年の観測技術の発展によって光度の暗い彗星まで観測されるようになり、このような遠い彗星がほかにもみつかっている。そうしてみると、彗星が木星、土星などに落ちこむ現象もさほどまれではないのかもしれない。

[斉藤馨児]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

シューメーカー・レビー第9彗星
シューメーカー・レビーだいきゅうすいせい
comets Shoemaker-Levy 9

1994年7月 17日から 22日にかけて木星に衝突した,直径1~4kmの大小 20個以上の破片が数珠つなぎになった彗星。アメリカのシューメーカー夫妻と D.レビー博士が 93年3月に発見した。以前は1個の彗星だったが,木星の引力圏に捕獲された際に木星の引力でばらばらになったと考えられている。衝突で,木星大気にできたキノコ雲や,黒い衝突跡が,ハッブル宇宙望遠鏡や,地上の天文台からも観測できた。彗星破片で最大級のG核の衝突跡は,地球の直径より大きい 7500kmにも達した。衝突時のデータから,まだよくわかっていない木星大気の構造が解明できると期待されている。

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