日本大百科全書(ニッポニカ) 「シロガヤ」の意味・わかりやすい解説
シロガヤ
しろがや / 白萱
[学] Aglaophenia whiteleggei
腔腸(こうちょう)動物門ヒドロ虫綱ヒドロイド目ハネガヤ科に属する海産動物。個体が癒着し、高さ5~20センチメートルほどの樹状の群体を形成する。幹から枝が不規則に各方面に出ており、その枝の上に小枝が羽状をなして互生し、その小枝上に10個ほどのヒドロ莢(きょう)が並んでいる。各ヒドロ莢の口縁には、その前面中央に大形の1歯があり、また側縁にはおのおの2個の小歯がみられる。生殖体は枝の中央付近に生じ楕円(だえん)形で、この生殖体をつけている枝は変形して籠(かご)状となり、それら生殖体を取り囲んでいる。本州北部より琉球(りゅうきゅう)諸島に至る各地の浅海にきわめて普通にみられるほか、小笠原(おがさわら)諸島からも知られている。オーストラリアにも分布する。本種の刺胞毒は比較的強く、人が触れるとかなりの痛みを感ずる。群体は全体として白色を帯びており、そのためこの名がある。
[山田真弓]