イギリスの経済学者。オックスフォード大学を卒業、同大学のドラモンド経済学講座の初代教授(1825~30)となり、のちに再任(1847~52)されたほか、1832年には救貧法委員に選ばれ、34年の救貧法改正に大きな役割を果たし、また、工場法委員、教育委員など政府の各種委員を歴任した。経済学者としては、理論経済学の意義と方法を説くとともに、A・スミスやD・リカードの経済学説を、継承しながら変容し、後のJ・S・ミルや新古典経済学につなぐ役割を果たした。とりわけ、利潤は資本家が消費を制欲して蓄積したことに対する報酬であるとする「制欲説」を提起し、後の利潤と利子の学説に大きな影響を与えた。また、利潤は1日の労働時間のうちの最後の1時間で生み出されるという「シーニアの最終1時間説」の提唱によって、労働時間の短縮に反対したことは有名である。主著に『経済学概要』An Outlines of the Science of Political Economy(1836)がある。
[千賀重義]
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