日本大百科全書(ニッポニカ) 「スギタニルリシジミ」の意味・わかりやすい解説
スギタニルリシジミ
すぎたにるりしじみ / 杉谷瑠璃小灰蝶
[学] Celastrina sugitanii
昆虫綱鱗翅(りんし)目シジミチョウ科に属するチョウ。北海道、本州、四国、九州に分布するが、ルリシジミに比べて発生地は局部的で山間の渓谷地帯に多い。国外では朝鮮半島、中国(西部から中部)に分布する。はねの開張23~28ミリメートル。雄のはねの表面の色彩は暗藍(あんらん)色、裏面は雌雄とも帯褐灰色で、ルリシジミに比べて強く暗色を帯びる。北海道、九州に産するものは表裏とも色彩が明るくルリシジミに似る。1年に1回の発生で春4~5月に発生するが、きわめてまれに第2化の成虫が8~9月にみられることがある。幼虫の食草はトチノキ(トチノキ科)、ミズキ(ミズキ科)、キハダ(ミカン科)で、それらの花蕾(からい)を食べる。蛹(さなぎ)の状態で冬を越す。
[白水 隆]