日本大百科全書(ニッポニカ) 「スタインブレナー」の意味・わかりやすい解説
スタインブレナー
すたいんぶれなー
George M. Steinbrenner Ⅲ
(1930―2010)
アメリカのプロ野球球団オーナー。1973年から2008年までニューヨーク・ヤンキースのオーナーを務めた。監督、選手と対立することも多い独裁型のオーナーであるが、チームの選手補強に熱心に取り組み、1970年代、1990年代、2000年代のヤンキースの黄金時代を実現した。
7月4日、オハイオ州ロッキーリバーで生まれる。家業であった造船会社のトップとなり、巨額の富を築いた。そして1973年1月、メディア大手のCBSからヤンキースを買い取り、筆頭オーナーとなった。1980年のシーズンオフにサンディエゴ・パドレスからFA(フリーエージェント)となった強打者デーブ・ウインフィールドDavid Mark Winfield(1951― )を10年契約で獲得するなど戦力補強に積極的で、1976年リーグ優勝、1977年と1978年は2年連続ワールド・シリーズ制覇、1980年地区優勝、1981年リーグ優勝と、強豪チームをつくりあげることに成功した。ただし、監督のビリー・マーチンを計5回解任して4回就任させたように、すぐに監督を交代させることでも有名になった。1982年以降は優勝できなくなり、1990年にはウインフィールドの身辺調査にギャンブラーを雇ったとして当時のコミッショナーだったビンセントFrancis T. Vincent Jr.(1938― )から強制辞任させられた。しかし、1992年限りでビンセントがコミッショナーを辞任すると球界に復帰し、1996年にジョー・トーレを監督に据えると、以前と違って監督を任せ続け、黄金時代を築いた。オーナー在任中の2008年までに、ヤンキースは地区優勝15回、ワールド・シリーズ優勝6回を果たした。
[山下 健]