日本大百科全書(ニッポニカ) 「スデーヌ」の意味・わかりやすい解説
スデーヌ
すでーぬ
Michel Jean Sedaine
(1719―1797)
フランスの劇作家。いわゆる市民劇(ドラム)を創唱したディドロは自作の芝居では失敗したが、忠実な弟子と目されるスデーヌはその理論にのっとった傑作『そうとは知らぬ哲学者』Le Philosophe sans le savoir(1765)で成功を収めた。当時の悪習と考えられる決闘に反対するのも主題の一つだが、全編が無理のない筋と台詞(せりふ)で貫かれたこの戯曲は、貴族がさげすんだ商業を礼賛し、社会において交易商人が果たす役割を大々的に喧伝(けんでん)している。
[市川慎一]
『斎藤一寛著『フランス思想劇の成立』(1954・早稲田大学出版部)』