改訂新版 世界大百科事典 「スナータカ」の意味・わかりやすい解説
スナータカ
snātaka
古代インドのバラモン教で,四つのアーシュラマの第1である学生期〈ブラフマチャリヤ〉を満了する儀礼を行った者を指す呼称。直後に結婚式を行い家住期〈ガールハスティヤ〉に入るまでの短く特殊な期間であり,独特の生活法が定められている。サンスクリットで〈沐浴する〉を意味する動詞に由来する語で,〈沐浴した者〉というのが本来の意味である。師のもとでベーダを学習する学生期を終えて家に戻るとき,帰家式〈サマーバルタナsamāvartana〉という儀式を行うが,そのとき沐浴して身を清めるので〈スナータカ〉という呼称が生じた。本来はバラモン階級のみを指して使われたが,後世ではクシャトリヤ,バイシャを含むバラモン教徒一般に対して用いられるようになった。
執筆者:吉岡 司郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報