スポーツ推進委員(読み)すぽーつすいしんいいん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スポーツ推進委員」の意味・わかりやすい解説

スポーツ推進委員
すぽーつすいしんいいん

地域における住民のスポーツ活動を推進するため、スポーツ基本法に基づき市区町村の教育委員会が委嘱する非常勤特別公務員。スポーツを推進する事業の実施における連絡や調整、住民に対する実技の指導や助言を行う。地域住民と行政との隔たりをなくし、スポーツ施策を活発化させる役割を担っている。特定の競技種目を盛んにする指導者というよりも、広く幼児から高齢者までを対象とし、スポーツに対するさまざまな要望を行政に反映することが重要視されている。また、2~3年先の地域を見越しながら、スポーツ振興事業計画を練り、指導者や協力者の発掘、スポーツを行う場を整備することなどへの関与が求められる。2014年(平成26)8月時点で、全国で約5万1500人の推進委員がおり、男性が7割を占める。年齢は50代後半が多数で、会社員や自営業者教員、教員経験者などが多い。

 スポーツ推進委員は、1957年(昭和32)に発足した体育指導委員制度がもとになっている。その後、1961年に制定されたスポーツ振興法において、法的に非常勤公務員と位置づけられた。これにより、従来ボランティアなどであった指導員立場が明確になり、責任をもってスポーツ振興にあたる環境が整えられた。以前よりも地域スポーツ振興のコーディネーターや推進役としての責務が強められた。それまでの体育指導委員はスポーツ推進委員とみなされることになった。2012年に文部科学省によって策定されたスポーツ基本計画では、以降5か年で重視される取り組みとして、(1)地域のスポーツ指導者などの充実、(2)スポーツ推進委員に熱意能力のある人材を登用し、研修機会の充実を図ることなどを掲げている。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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