改訂新版 世界大百科事典 「スルタンアグン」の意味・わかりやすい解説
スルタン・アグン
Sultan Agung
生没年:?-1645
インドネシア,ジャワのマタラム・イスラム王国の第3代の王。在位1613-45年。祖父セナパティ,父パネンバハン・クラピアクの後を受けて国勢の拡大につとめ,北岸のトゥバンやマドゥラ島を攻略した後,都をコタ・グデから南東方のプレレッドに移した。西方に進出するにつれてバタビア(現,ジャカルタ)に根拠地を得たオランダ東インド会社と衝突し,バタビア城を1628年,29年の2回にわたって包囲したが,いずれも失敗した。これ以後,彼は西方進出を断念し,中部・東部ジャワの征服に専念し,36年にはスラバヤ近傍のグレシックを中心とする,イスラム教の聖者スーナン・ギリの小国家を滅ぼし,39年にはジャワ最東端のバランバンガン地方を征服して,西部以外のジャワ全土を領した。しかし,念願のバリ征服はついに実現しなかった。彼は外政に非凡な才能を示したが,内政は苛酷で,住民は重税に苦しんだ。死後,子アマンクラット1世が後を継いだ。
執筆者:永積 昭
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報