ずらす(読み)ズラス

デジタル大辞泉 「ずらす」の意味・読み・例文・類語

ずら・す

[動サ五(四)]
滑らせるようにして、少し動かす。位置をちょっと横に動かす。「いすを―・す」
位置や日時などを重ならないように動かす。「予定一週間―・そう」
するべきことをあとに回す。
「いいつけられたことはハイ一寸も―・さねえだ」〈鏡花琵琶伝
[可能]ずらせる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「ずらす」の意味・読み・例文・類語

ずら・す

〘他サ五(四)〙
① 物を、ある姿勢や状態を保たせたまま、ほかの物に沿うようにして少し移動させる。また、そうして本来あるべき位置から動かす。移す。
千歳之鉢(1903)〈泉鏡花〉下「『手水鉢へ、鶴が』といって江島は腰をずらして瞰下(みおろ)した」
② ことを行なう時間を移動させる。
(イ) 今しなければならないことをやらないで後にのばす。ほうっておく。うっちゃっておく。江戸時代、文化・文政頃(一八〇四‐三〇上方のはやりことば。歌舞伎役者らが用いてひろまった。
※南水漫遊拾遺(1820頃)四「づらす 物を打捨おく事」
※琵琶伝(1896)〈泉鏡花〉三「いひつけられたことはハイ一寸もずらさねえだ」
(ロ) 予定や計画などを、内容を変えずに他の日時にうつす。また、いくつかある予定を、重ならないように少し時日を変える。
※白く塗りたる墓(1970)〈高橋和巳〉九「個人的な用件など少し時間をずらせばいいことだった」
③ 本来の範囲からそらしたり、その範囲を他に及ぼしたりする。
※文学読本・理論編(1951)II・現代日本小説〈平野謙〉「すこし意味をずらせば、『半日』を書いた森鴎外の場合も」
他人の目をごまかす。あざむく。ずるいことをする。
※歌舞伎・桜姫東文章(1817)序幕「『併し近々小判の山』『又ずらされると知りながら、そんなら次手にその文を』」

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