セグロハリガネウミヘビ(読み)せぐろはりがねうみへび(その他表記)bicolor spaghetti eel

日本大百科全書(ニッポニカ) 「セグロハリガネウミヘビ」の意味・わかりやすい解説

セグロハリガネウミヘビ
せぐろはりがねうみへび / 背黒針金海蛇
bicolor spaghetti eel
[学] Moringua bicolor

硬骨魚綱ウナギ目ハリガネウミヘビ科に属する海水魚。石垣島、西表島(いりおもてじま)、ミクロネシア諸島、インドネシア、マダガスカルなどインド洋・西太平洋に分布する。体は著しく細長く、尾部の後端付近で側扁(そくへん)する。尾端は鈍くて柔らかい。肛門(こうもん)は体の中央部よりも著しく後方に位置し、肛門前長(吻端(ふんたん)から肛門までの長さ)は全長の70%ほどである。吻はあまり突出しない。目は成魚では比較的大きい。口は小さく、上顎(じょうがく)の後端は目の後縁をわずかに越える。上唇に折り返しのひだがない。下顎は上顎よりも突出する。前鼻孔(ぜんびこう)は短く、管状で、吻端近くに開口する。後鼻孔は裂孔状で、皮弁(皮質突起)をもち、目の前縁に位置する。上顎には前端に1本、その後方に5本の歯が、下顎には6本の歯がそれぞれ1列に並ぶ。鋤骨(じょこつ)(頭蓋(とうがい)床の最前端にある骨)に2本の歯がある。鱗(うろこ)はない。背びれと臀(しり)びれは体の著しく後部にあり、背びれは臀びれよりすこし前から始まる。両ひれの前半部の鰭条(きじょう)は明瞭(めいりょう)であるが、後部では皮下に埋没して皮褶(ひしゅう)(皮膚のしわ)となり、尾びれとつながる。尾びれは大きく、円形で、中央部でとがる。胸びれは小さく、円形で、鰓孔(さいこう)の直後にある。腹びれはない。体は背側面が黒色、腹側面が銀白色で、体側中央部で明瞭に分かれる。下顎の中央部は黒色。背びれ、臀びれ、胸びれは透明で、尾びれは基部を除いて黒色。最大全長は約40センチメートル。サンゴ礁域の浅海にすみ、瓦礫(がれき)の間から頭部を出している。未成熟個体では体はミミズ状で、それほど長くなく、目やひれが退化的で、体色は黄色または赤色である。琉球(りゅうきゅう)諸島には本種以外にハリガネウミヘビM. microchirとトビハリガネウミヘビM. javanicaがいるが、本種は肛門前の側線孔は96個以上あることなどで前種(64以下)と、頭は大きく、全長の約7%であることなどで後種(5~6%)と区別できる。

[尼岡邦夫 2019年6月18日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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