日本大百科全書(ニッポニカ) 「ソコアマダイ」の意味・わかりやすい解説
ソコアマダイ
そこあまだい / 底甘鯛
short-tail bandfish
[学] Owstonia totomiensis
硬骨魚綱スズキ目アカタチ科ソコアマダイ亜科に属する海水魚。駿河湾(するがわん)、遠州灘(えんしゅうなだ)、土佐湾、東シナ海、台湾南部の沿岸域に分布する。体は側扁(そくへん)し、体高は背びれの起部でもっとも高く、後方に向かって急に細くなる。体長は臀(しり)びれの起部で計測した体高の3.5~4.2倍。尾柄(びへい)は細く、尾柄長は尾柄高の1.3~1.7倍。頭は頑丈で、頭部の背外郭はわずかに湾曲する。目は大きくて、眼径は吻長(ふんちょう)より著しく大きい。吻端の上方のくぼみに多数の乳頭状突起がある。前鰓蓋骨(ぜんさいがいこつ)の下縁に9~11本の短いこぶ状の棘(きょく)がある。口は上向きで、上顎(じょうがく)の後端は目の中央部下を越える。上顎には14~21本の短くて先端が丸い外列歯と、前端に0~2本の内列歯がある。下顎には7~14本の側歯と前端の縫合部に4~7本の歯がある。鋤骨(じょこつ)(頭蓋床の最前端にある骨)と口蓋骨には歯がない。全鰓耙(さいは)数は42~46本。体は小さい円鱗(えんりん)で覆われる。項部(背びれ起部より前の後頭部)と頬(ほお)には鱗(うろこ)がない。縦列鱗数は50~60枚。側線は鰓孔の上方から始まり、背びれ第2軟条へ向かって上昇したあと、背びれの基底に沿って走り、背びれの19~20軟条下方で終わる。側線は分枝せず、左右が背びれ起部の前方でつながる。側線鱗数は19~20枚。背びれは1基で3棘20~21軟条、臀びれは1棘13~14軟条。両ひれは尾びれとつながらず、それぞれのひれの後縁は丸い。胸びれは20~21軟条。腹びれは肛門(こうもん)のわずかに後方まで達する。尾びれは槍(やり)状。頭と体は背側面では赤色で、腹側面では白っぽい。主上顎骨と前上顎骨の間の膜は黒い。垂直鰭(すいちょくき)(背びれ、臀びれ、尾びれの総称で、対(つい)をなさないひれ)は淡赤色。背びれの縁辺と尾びれの上縁は赤色。水深200~300メートルの砂泥底の穴に生息し、底引網でとれる。最大体長は50センチメートルほどになる。そのほかの生態は知られていない。ソコアマダイモドキO. japonicaに似るが、ソコアマダイモドキは頬に鱗があること、側線が背びれの起部の前方でつながらないことなどで本種と区別できる。
[尼岡邦夫 2022年7月21日]