その他の染色体異常
そのたのせんしょくたいいじょう
Other chromosome aberrations
(子どもの病気)
染色体異常症には非常に多くの種類があります。ここでは頻度の比較的高いものをあげます。
①13トリソミー症候群
13番染色体が3本あるもので、新生児1万人に1人の頻度でみられます。脳や顔(小眼球、唇裂・口蓋裂など)、指、心臓などに重い奇形がみられます。知能や運動の発達の遅れは最重度です。平均寿命は3~4カ月で、90%以上が1歳以内に死亡します。予後不良の染色体異常症のため、治療方針は合併症の程度や全身状態を考慮し、家族と医療者の話し合いで決定される傾向にあります。
②18トリソミー症候群
18番染色体のトリソミーで、新生児6000人に1人の頻度です。後頭部が出っ張り、小さな目鼻口の集まった特有の顔をしています。指の重なりや、揺り椅子の形の足底も特徴的です。心臓の奇形がほぼ全員にみられます。知能や運動の発達の遅れは最重度です。90%は1歳までに死亡します。治療方針の決定は13トリソミーの場合と同様です。
③5p-症候群
5番染色体の短腕の一部が欠けているものです。新生児期に子ネコのような甲高い鳴き声がみられ、「ネコ鳴き症候群」とも呼ばれます。眼の間の離れた丸い顔が特徴的ですが、年齢とともに顔は細長くなります。胎児期から成人に至るまでずっと小柄です。知能や運動の発達は遅れ、知能指数は20~30くらいです。
④クラインフェルター症候群
X染色体を1~3本過剰にもっている男性で、新生男児600人に1人の頻度です。身長は高く、やせていて手足が長い特徴があります。思春期以降も精巣の発育が不良で無精子症になります。約3分の1に乳房の発育(女性化乳房)が認められます。知能は一般に正常です。思春期以後に男性ホルモンの補充療法を行うことがあります。
小林 武弘
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
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家庭医学館
「その他の染色体異常」の解説
そのたのせんしょくたいいじょう【その他の染色体異常】
染色体分析法の進歩により、各種染色体の構造異常が多数発見されてきました。
そのうち、一定の臨床症状をもつものは、症候群として確立しています。4pマイナス症候群、13qマイナス症候群、18pマイナス症候群、18qマイナス症候群、21qマイナス症候群、9pトリソミー症候群などです(pは短腕、qは長腕の意)。
これらはいずれも常染色体異常で、共通していることは、いろいろな形態異常と精神発達遅滞(せいしんはったつちたい)を必ずともなうことです。
■4pマイナス症候群(しょうこうぐん)
4番染色体の短腕部(たんわんぶ)が欠けているもので、眼球の非対称、眼球の開離(かいり)、虹彩(こうさい)の欠損など、からだの正中線(せいちゅうせん)(からだの中心)に沿って、形態異常が集中しておこります。
■18pマイナス症候群(18番染色体短腕部欠失症候群)
小頭症(しょうとうしょう)、眼瞼下垂(がんけんかすい)、変形耳介(へんけいじかい)などがおこります。
■18qマイナス症候群(18番染色体長腕部欠失症候群)
小頭症、顔面の中央部形成不全、先細りの指などがみられます。
■21qマイナス症候群(21番染色体長腕部欠失症候群)
ダウン症候群とは反対に、斜め下に下がった目じりが特徴です。大きな耳介(じかい)の変形、爪(つめ)の形成不全などがみられます。
出典 小学館家庭医学館について 情報
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