脳の発育が悪く,頭が異常に小さい状態。脳の大きさを測ることは困難なので,頭囲(頭の周囲)を巻尺で測る(頭囲の標準値は,出生時約33cm,12ヵ月約43cm,成人約53cm)。頭蓋骨早期融合のため生ずる狭頭症(頭蓋が大きくならないために頭が小さい)とは通常区別されている。脳の発育障害の原因としては,遺伝性小頭症(真性小頭症)のほかに胎内感染(たとえば風疹やサイトメガロウイルスの感染),重症仮死などの周産期障害,頭蓋内出血,中枢神経感染症などがある。一般に精神発達の遅れと痙性麻痺(脳性麻痺)を伴い,また痙攣(けいれん)発作(てんかん)を伴うことが多い。外見上は,顔面頭蓋に比して脳頭蓋が小さい。治療として原因疾患に対する治療,対症療法(てんかんの治療や,運動障害に対する訓練など)が行われる。なお狭頭症に対しては頭蓋骨切開が行われるが,小頭症に対しては一般に無効である。
執筆者:小宮 和彦
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乳幼児期から学童前期ころまでの間に脳は急速に発育し、これに伴い頭囲も拡大してくるが、なんらかの原因で脳の発育が遅延または停止して頭蓋(とうがい)も拡大せず、頭囲が小さい場合をいう。厳密には、各年齢ごとの平均頭囲値から標準偏差の3倍を引いた値より小さいとき、小頭症とよぶ。原因は、胎生期の感染症や妊娠中毒症、鉗子分娩(かんしぶんべん)などの出産に伴う外傷や遷延性仮死状態、出生後の脳炎や重症頭部外傷など、さまざまである。症状は、頭囲が小さいばかりでなく、基礎となる脳損傷の程度に応じて知能発育遅延、けいれん発作などがみられる。
なお、外見上頭が小さい場合には狭頭症といって病態のまったく異なる疾患があるので、注意を要する。
[加川瑞夫・山本昌昭]
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(2016-1-25)
… ヒトの奇形は遺伝的要因と環境要因によってもたらされる。前者には常染色体性優性遺伝(合指症など),常染色体性劣性遺伝(小頭症など),伴性劣性遺伝による奇形や,染色体異常(クラインフェルター症候群など)による奇形がある。一方,後者によるものも多数存在し,化学物質,放射線,感染など,さまざまな化学的・物理的・生物的因子が奇形を誘発する。…
※「小頭症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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