小頭症(読み)ショウトウショウ(英語表記)microcephalus

デジタル大辞泉 「小頭症」の意味・読み・例文・類語

しょうとう‐しょう〔セウトウシヤウ〕【小頭症】

遺伝的要因や染色体異常、子宮内感染など何らかの原因で脳の成長が阻害され、頭蓋が正常な大きさに達しない病態。→狭頭症きょうとうしょう

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精選版 日本国語大辞典 「小頭症」の意味・読み・例文・類語

しょうとう‐しょうセウトウシャウ【小頭症】

  1. 〘 名詞 〙 頭の小さい病気。頭蓋骨内の脳そのものの発育が遅れて頭囲が小さいままの状態をいう。知能が低く、興奮性でしばしばけいれん発作をおこす。頭蓋骨の骨縫合が早すぎたためにそれ以上に頭が大きくならない狭頭症は別の疾患

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改訂新版 世界大百科事典 「小頭症」の意味・わかりやすい解説

小頭症 (しょうとうしょう)
microcephalus

脳の発育が悪く,頭が異常に小さい状態。脳の大きさを測ることは困難なので,頭囲(頭の周囲)を巻尺で測る(頭囲の標準値は,出生時約33cm,12ヵ月約43cm,成人約53cm)。頭蓋骨早期融合のため生ずる狭頭症(頭蓋が大きくならないために頭が小さい)とは通常区別されている。脳の発育障害の原因としては,遺伝性小頭症(真性小頭症)のほかに胎内感染(たとえば風疹サイトメガロウイルスの感染),重症仮死などの周産期障害,頭蓋内出血,中枢神経感染症などがある。一般に精神発達の遅れと痙性麻痺脳性麻痺)を伴い,また痙攣(けいれん)発作(てんかん)を伴うことが多い。外見上は,顔面頭蓋に比して脳頭蓋が小さい。治療として原因疾患に対する治療,対症療法(てんかんの治療や,運動障害に対する訓練など)が行われる。なお狭頭症に対しては頭蓋骨切開が行われるが,小頭症に対しては一般に無効である。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「小頭症」の意味・わかりやすい解説

小頭症
しょうとうしょう

乳幼児期から学童前期ころまでの間に脳は急速に発育し、これに伴い頭囲も拡大してくるが、なんらかの原因で脳の発育が遅延または停止して頭蓋(とうがい)も拡大せず、頭囲が小さい場合をいう。厳密には、各年齢ごとの平均頭囲値から標準偏差の3倍を引いた値より小さいとき、小頭症とよぶ。原因は、胎生期の感染症や妊娠中毒症、鉗子分娩(かんしぶんべん)などの出産に伴う外傷や遷延性仮死状態、出生後の脳炎や重症頭部外傷など、さまざまである。症状は、頭囲が小さいばかりでなく、基礎となる脳損傷の程度に応じて知能発育遅延、けいれん発作などがみられる。

 なお、外見上頭が小さい場合には狭頭症といって病態のまったく異なる疾患があるので、注意を要する。

[加川瑞夫・山本昌昭]

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百科事典マイペディア 「小頭症」の意味・わかりやすい解説

小頭症【しょうとうしょう】

頭が内容とともに全体として小さいもので,標準偏差の2倍以上小さい場合をいい,運動発達遅滞や知能低下が随伴する。原因は胎内ウイルス感染,染色体異常,先天性脳奇形,乳児期脳疾患の後遺症などによる脳の本質的形成不全と考えられ,治療困難。また,脳の発育は正常だが,頭蓋骨縫合早期癒合(ゆごう)により頭蓋骨が成長せず,脳が圧迫され脳圧亢進症状を呈するものも小頭症に含めることがある。
→関連項目サイトメガロウイルストキソプラズマ

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「小頭症」の意味・わかりやすい解説

小頭症
しょうとうしょう
microcephaly

頭蓋骨の縫合が早期に完成するために頭が極端に小さいものと,脳の発育が悪いために脳体積が小さく,頭蓋腔の容積も拡大しないものの二つがある。知能の発達遅滞が顕著である。前者は頭蓋骨癒合症の治療に準じるが,後者には有効な治療法がないことが多い。

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知恵蔵mini 「小頭症」の解説

小頭症

脳の発育不全により、頭蓋や大脳半球が極端に小さい状態。多くの場合、知能や運動機能に障害が生じる。遺伝性疾患の他、母体のウイルス感染による胎内感染、胎児期の放射線被曝、周産期の低酸素症や頭蓋内出血、新生児期の中枢神経感染症などが原因とされる。有効な治療法はなく、対症療法が中心となる。

(2016-1-25)

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世界大百科事典(旧版)内の小頭症の言及

【奇形】より

… ヒトの奇形は遺伝的要因と環境要因によってもたらされる。前者には常染色体性優性遺伝(合指症など),常染色体性劣性遺伝(小頭症など),伴性劣性遺伝による奇形や,染色体異常(クラインフェルター症候群など)による奇形がある。一方,後者によるものも多数存在し,化学物質,放射線,感染など,さまざまな化学的・物理的・生物的因子が奇形を誘発する。…

※「小頭症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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