タウング頭骨(読み)タウングとうこつ(その他表記)Taung skull

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タウング頭骨」の意味・わかりやすい解説

タウング頭骨
タウングとうこつ
Taung skull

1924年南アフリカ共和国のケープ州にあるタウング駅の近くで発見され,R.ダートによってアウストラロピテクス・アフリカヌスと命名された猿人の頭骨アウストラロピテクス類のうちで最初に発見された化石で,ヒトか類人猿かの論議が続き,科学史的意義はきわめて高い。この頭骨は,頭蓋下顎の一部を除きほぼ完全に保存された約6歳の小児のもので,失われた頭蓋の部分には脳の自然鋳型が残っていた。脳容量は約 500cm3で,成長すると 600cm3をこえると推定される。小児でありながら眼窩上隆起は発達しはじめており,鼻骨は扁平でほとんど顔面から突出しない。顎は前方に強く突き出し (突顎) ,一見,類人猿のようである。歯は全体に大きいが,犬歯は突出しておらず,完全にヒト的である。食虫類,シカ,サルなど多くの哺乳動物化石を伴っていたが,人工遺物は発見されていない。時代は鮮新世末か更新世前期と推定されている。

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