タカマユウツボ(読み)たかまゆうつぼ(その他表記)Seychelles moray

日本大百科全書(ニッポニカ) 「タカマユウツボ」の意味・わかりやすい解説

タカマユウツボ
たかまゆうつぼ / 高眉鱓
Seychelles moray
[学] Anarchias seychellensis

硬骨魚綱ウナギ目ウツボ科に属する海水魚。千葉県外房(そとぼう)、伊豆半島、和歌山県串本(くしもと)町付近の太平洋沿岸、小笠原(おがさわら)諸島などのほかに、ハワイ諸島、マルケサス諸島マーシャル諸島などインド洋・太平洋に広く分布する。体は細長い小形のウツボ類で、全長は鰓孔(さいこう)部での体高の20~26倍。肛門(こうもん)は体の中央部よりも前に位置する。鰓孔は小さく、体の中軸直下に開く。前鼻孔(ぜんびこう)は管状。後鼻孔は目の中央上方に開き、その縁辺は隆起する。目は吻端(ふんたん)よりも口角部近くに位置する。上下両顎歯(りょうがくし)は2列に並び、内列歯は長くて、互いによく離れており、顎骨と緩く関節しているため、押さえると倒すことができる。外列歯は小さく接近して並ぶ。前上顎骨板の中央に3本の歯がある。体色は著しく変化に富む。多くは全体に赤褐色で、複雑な不規則形の放射状の斑点(はんてん)があるが、体は一様に淡褐色や赤褐色で斑点がない個体も見られる。体長は最大で29センチメートルになる。水深22メートル以浅のサンゴ礁や沿岸の岩礁域、潮だまり(タイドプール)などで見られる。怒らせるとかみつくことがある。本種は背びれと臀(しり)びれが尾端付近にのみ存在するキカイウツボ亜科に属し、この特徴でウツボ亜科と明瞭(めいりょう)に区別できる。本亜科には日本からタカマユウツボ属以外に、アミキカイウツボ属およびキカイウツボ属の2属が知られているが、本属は後鼻孔の後方に1個の頭部感覚孔が開くことで、他の2属とは区別できる。

[尼岡邦夫 2019年11月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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