タツタソウ(読み)たつたそう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「タツタソウ」の意味・わかりやすい解説

タツタソウ
たつたそう / 竜田草
[学] Jeffersonia dubia (Maxim.) Benth. et Hook.f.

メギ科(APG分類:メギ科)の多年草原産は朝鮮半島北部、中国東北部、アムール地方で、日本には1904年(明治37)にもたらされた。草丈は9~30センチメートル。葉は全部が根生で、長い赤黒色の葉柄を備え、ほぼ円形となり、直径約5センチメートル。葉の先端はくぼみ、基部は深く湾入する。早春淡紫色の花を単生する。根茎は黄色で、アルカロイドベルベリンを含有するため、黄連(おうれん)の代用とする。和名の由来は、日露戦争のとき、軍艦竜田(たつた)」の乗組員が黄河流域で採集し持ち帰ったことによる。また、葉の形からイトマキグサ(糸巻草)ともいう。漢名は鮮黄連、鉄線草

[長沢元夫 2019年9月17日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タツタソウ」の意味・わかりやすい解説

タツタソウ(竜田草)
タツタソウ
Jeffersonia dubia; twinleaf

メギ科の多年草で,イトマキグサともいう。北朝鮮,中国東北地方からアムール川流域にかけて分布し,日本へは日露戦争時に通報艦『竜田』の乗組員が持帰ったという。葉は根生で,長い柄をもち腎臓状心臓形。早春に,若葉とともに長い花柄を多数出し先端に淡紫色の美しい花を1つずつつける。山草として愛好家の間で栽培されている。

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