日本大百科全書(ニッポニカ) 「タップ・ダンス」の意味・わかりやすい解説
タップ・ダンス
たっぷだんす
tap dance
かかととつまさきに金属を装着した靴で床を踏んだり、蹴(け)ったりしてリズミカルに踊る踊りで、アメリカのショーダンスの一種。アイルランドのジグjigやイギリスのクロッグダンスclog danceが移民によってアメリカにもたらされ、黒人がアフリカから持ち込んだ舞踊と合体してできた。19世紀にダディ・ライス、ジュバなどによるミンストレル・ショーや、ニューヨークを中心にしたボードビル・ショーなどで発展した。20世紀になってジャズの隆盛とともにブロードウェーで流行し、1930年代に不世出のタップ・ダンサー、フレッド・アステア、ビル・ロビンソンが出現し、バレエやアクロバティックな要素が付け加えられた。アステアはハリウッドで『トップ・ハット』(1935)など数多くのミュージカル映画に出演し、絶妙なタップ・ダンスをスクリーンに残した。ほかにもエレノア・パウエル、アン・ミラー、ドナルド・オコーナー、ジーン・ケリーらの踊り手が映画で活躍した。
[市川 雅]