リール(読み)りーる(英語表記)Wilhelm Heinrich Riehl

デジタル大辞泉 「リール」の意味・読み・例文・類語

リール(Lier)

ベルギー北部、アントウェルペン州の都市。市中をネーテ川とその支流が流れる。第一次大戦で大きな被害を受けたが、後に戦前の街並みを復元。ダイヤモンド研磨が盛んなことで知られる。1999年に市庁舎と鐘楼が「ベルギーとフランスの鐘楼群」の名称で世界遺産(文化遺産)に登録。また、ベギン会の修道院があり、1998年に「フランドル地方のベギン会修道院群」の名称で世界遺産(文化遺産)に登録された。

リール(Lille)

フランス北部、オー‐ド‐フランス地方の地方政府所在地。ベルギーとの国境近くにあり、北隣のルーベなどと大都市圏工業地域をなす。古くから毛織物生産が行われ、現在は金属工業などが盛ん。

リール(reel)

糸・ひも・テープ・フィルムなどを巻き取る枠。
映画フィルムの一巻き。約300メートル。
釣りざおに取り付け、中にあるスプール(糸巻き)から釣り糸を繰り出したり巻き取ったりする装置。

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精選版 日本国語大辞典 「リール」の意味・読み・例文・類語

リール

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] reel )
  2. 糸や紐、テープなどを巻きつける道具。巻軸。スプール。
  3. 映画フィルム用の巻き取り枠。また、映画フィルムの一巻(ひとまき)。〔モダン新用語辞典(1931)〕
  4. 写真フィルムの巻き芯。スプール。
    1. [初出の実例]「手にしたフィルムをリールからのばして電燈にかざしたり」(出典:月は東に(1970‐71)〈安岡章太郎〉二)
  5. スプール(糸まき)からつり糸を繰り出し、また、ハンドルでまきとる装置。釣竿に取り付けて用いる。スピニングリール、サーフリール、太鼓型リールなどがある。
    1. [初出の実例]「真一さんは、今度はリールの糸を取り替えに掛っていて、面倒臭そうにいった」(出典:悠蔵が残したこと(1966)〈小川国夫〉)
  6. スコットランドアイルランド・アメリカ合衆国に残っている舞踊。速いテンポで、組になって繰り返し踊るのを特徴とする。

リール

  1. ( Lille ) フランス北部、ベルギーとの国境に近いフランドル地方の中心都市。伝統の毛織物業のほか、鉄鋼、機械などの工業が行なわれる。

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改訂新版 世界大百科事典 「リール」の意味・わかりやすい解説

リール
Lille

フランス北部,ベルギー国境に接するノール県の県都。ノール・パ・ド・カレー地域の行政的中心。司教座所在地。人口18万4493(1999)。1887年創設の大学や証券取引所などがあり,国際見本市が開かれ,交通の便に恵まれた地域の経済・文化の中心地。古くはフランドル伯,ブルゴーニュ公,ついでハプスブルク家の支配下にあったが,1667年にルイ14世により征服され,翌年,王領地に編入された。このときS.Le P.ボーバンによって築造された城砦は現存する。中世以来,毛織物の生産が盛んで定期市も開かれていた。19世紀に綿工業,機械工業などが発展し,重要な工業都市となった。現在は近接するルーベ,トゥールコアンとコナベーション(連接都市)をなし,都市圏の人口は90万人を超えてフランス第4の規模である。繊維,機械,食品,化学工業などをもつ工業都市でもある。繊維,石炭,鉄鋼などの伝統的部門からの構造転換を進めてきている北部工業地帯の中心都市として,その果たすべき役割は大きい。市内には17世紀に建てられたフランドル・バロック様式の旧証券取引所をはじめとする歴史的建造物が残る。
執筆者:


リール
Wilhelm Heinrich Riehl
生没年:1823-97

ドイツ・ロマン主義の伝統をひく文化史家。ミュンヘン大学教授,バイエルン国立博物館館長などを歴任した。《民族の自然史》(1851-69)としてまとめられた一連の著作により,ドイツにおける社会学,歴史民族学の創始者の一人に数えられる。《市民社会》(1851),《家族》(1855)は,保守主義者による近代への転換点に立つドイツ社会を分析したものとして興味深い。短編小説家,音楽史家としても著名。
執筆者:

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「リール」の意味・わかりやすい解説

リール(フランス)
りーる
Lille

フランス北部、ノール県の県都で工業都市。パリ北方218キロメートル、ドゥー川に沿う平野にあり、ベルギー国境に近い。人口18万4657(1999)、23万2741(2015センサス)。北東に隣接するルーベー、トゥールコアン、その他約50の自治体とともに大都市圏を形成する。フランドル工業地帯の中央に位置し、この地方の政治、経済、文化の中心地。1967年北部高速道路が開通し、パリと直結した。道路、鉄道、水路、航空路における交通上の要衝であり、ヨーロッパ共同市場に対しても重要な位置を占める。12世紀以来ラシャ製造の大中心地で、のち木綿工業も盛んになり、今日でも繊維をはじめ機械、鉄鋼、化学などの工業が盛んである。旧市内には旧証券取引所(17世紀)をはじめとする歴史的建造物が多くみられ、16~19世紀のフランス絵画などを収蔵する美術館もある。大学があり、司教座が置かれている。

 ローマ時代にはドゥー川湾曲部の島状地を意味するインスラInsula(島)の名でよばれ、フランス語の「島」、すなわちリールl'îleが市名となった。中世にはフランドルの中心都市。1667年のフランス王国併合以前は、フランドル伯領、ブルゴーニュ公領、オーストリア領、スペイン領と変遷した。フランス併合の際、軍事技術家ボーバンが現存の星型の城塞(じょうさい)を築いた。1792年にはオーストリアの包囲戦に耐えた。第一次、第二次両世界大戦中はドイツ軍に占領された。ドゴール元大統領の生地である。

[高橋伸夫]


リール(Wilhelm Heinrich Riehl)
りーる
Wilhelm Heinrich Riehl
(1823―1897)

ドイツの社会学者、文化史家、作家。最初はジャーナリストとして出発し、1854年ミュンヘン大学の国家科学教授、1859年同大学の文化史教授となる。彼の活動のみならず観察方法からみて、マルクスとはまったく対立する立場にたつ。社会学を経済学ではなく民族学に結び付けながらアカデミズムを貫徹した。彼によると、民族は貴族、農民、市民と第四身分の4要素から構成され、民族の発展はこれら4要素の有機的な結び付きによって行われる。しかしこの場合、前二者は「不動の力」、後者は「運動の力」であるが、プロレタリアートをこれらの身分に変えることをもって社会政策の目的とした。主要著作は『市民社会論』(1851)、『土地と人』(1853)、『家族』(1861)、『民族の自然史』(1869)の四部作。彼はドイツ社会学の源流をたどる場合、L・フォン・シュタインと並んでかならず扱わねばならない社会学者である。

[鈴木幸寿]


リール(Herbert Riehl)
りーる
Herbert Riehl
(1915―1997)

ドイツ生まれの気象学者。アメリカのニューヨーク大学、シカゴ大学で学び、コロラド大学教授を務める。1972年、コロラド州立大学を辞してドイツに帰り、故シェルハーグRichard T. A. Scherhag(1907―1970)教授の後任としてベルリン自由大学教授となった。その後アメリカ国立大気研究センター研究員となる。熱帯気象学、とくに熱帯の大循環、台風、偏東風波動、熱収支などの研究が有名で、1979年の『熱帯の気候と天気』は標準的な教科書として広く読まれている。

根本順吉


リール(釣り)
りーる

釣り

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百科事典マイペディア 「リール」の意味・わかりやすい解説

リール

一般に糸,映画フィルム,録音テープなどを巻く枠をいうが,とくに釣竿(つりざお)にとりつけて糸を巻きとる器具をいう。船釣り,マス釣りなどに使用するフライ・キャスティング・リールは糸の長さの調節を主とする簡便なものであるが,スピニング・リールは投釣りに使用するもので,投げた勢いでリールが回りすぎ糸がもつれるのを防ぐようになっている。サーフ・キャスティング・リールは構造が堅固で,大型魚の投釣りに用いられる。
→関連項目釣道具ルアーフィッシング

リール

フランス北部,ノール県の県都。パリの北方218km,ベルギー国境近くの都市。商工業都市で,軍事上の要地。鉄鋼・機械・繊維・自動車・食品工業が行われる。大学(1887年創立),美術館(ルーベンスの絵画所蔵)などがある。中世にフランドルの主都として繁栄,1713年フランス領。第1次大戦中ドイツに占領された。22万6014人(2006)。
→関連項目フランドル

リール

ドイツの民俗学者,作家。新聞記者,ミュンヘン大学文化史教授を経てバイエルン国立博物館館長となった。民族文化の反省の学としての民俗学を樹立。著書《ドイツ社会政策の基礎としての民族の自然史》4巻(1851年―1869年),《文化史的小説》(1856年)など。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リール」の意味・わかりやすい解説

リール
Lille

フランス北部,ノール県の県都。ベルギーとの国境近くに位置する北フランス工業地帯の中心。 11世紀にフランドル伯ボールドウィン4世の建設した城を中心に発展,リス川の水運,パリとフランドルを結ぶ交通路が開かれ,12世紀になって毛織物の集散地として繁栄した。その後フランス王領,ブルゴーニュ公領を経て 1477年スペイン領となり,16世紀にはフランドル羊毛工業の中心地となった。 1667年再びフランス領。近世に入ってジュート加工,綿,麻紡織,メリヤスなどの繊維工業を中心とする諸工業が興隆,南郊に石炭を産するようになると,鉄鋼,機械,化学,醸造などの工業が盛んとなり,ルーベー,トゥールコアンなどの都市とともに一大工業地帯を形成するにいたった。 1967年,東郊に新都市リールエストを建設。ドゴール大統領の生地。人口 22万5784(2008)。

リール
Riehl, Wilhelm Heinrich von

[生]1823.5.6. ビーブリヒ
[没]1897.11.16. ミュンヘン
ドイツの文化史家,民俗学者,小説家。新聞記者を経て 1854年ミュンヘン大学教授。 85年バイエルン王立博物館館長。民俗学の体系化に努め,いわゆる社会民俗学を創始し,ドイツ民俗学の父と呼ばれている。主著『ドイツ社会政策の基礎としての民族の自然史』 Die Naturgeschichte des Volks als Grundlage einer deutschen Sozialpolitik (4巻,1851~69) ,『文化史的小説』 Kulturgeschichtliche Novellen (56) ,『古代からの歴史』 Geschichten aus alter Zeit (2巻,63~64) 。

リール
Lisle, Alice

[生]1614頃
[没]1685.9.2. ハンプシャー,ウィンチェスター
G.ジェフリズの「血の巡回裁判」の犠牲になったイギリス婦人。国王チャールズ1世を死刑にした裁判官の一人で,護国卿政権で議会関係の役職についたジョン・リールの2番目の妻で,1630年結婚。王政復古で夫はスイスに亡命し暗殺されたため,彼女はウィンチェスター近くに引退。 85年モンマス (公)の反乱の参加者2人を自宅にかくまった責めで逮捕され,裁判長ジェフリズの圧力によって有罪とされ,絞首刑になった。

リール
Lier

ベルギー北部,アントウェルペン州の都市。フランス語で Lierreと綴る。アントウェルペンの南東に位置し,8世紀頃に起源をもつ。聖ペテルス礼拝堂 (1225) を中心に集落が発達し,14世紀には重要な繊維工業地となり,ブラバント伯より都市権を得た。 1914年のアントウェルペン砲撃の際に被害を被ったが,ゴシック様式の鐘楼 (1369) など中世の建造物も多数残存する。このうちベギン会修道院 (13世紀) は,1998年世界遺産の文化遺産に登録。ダイヤモンド研磨,レース編み,刺繍,ビーズ細工,楽器製造などの伝統工業が行なわれている。天文時計ジンメルの塔 (17世紀) が有名。人口3万 1181 (1991推計) 。

リール
reel

糸を遠くに投げ,魚を楽に寄せるための釣用具。ヨーロッパで発明されたスピニング・リールや,糸の巻いてあるスプールの部分が回るベイト・キャスティング・リールなど4つのタイプがあり,釣りの種類によって使い分ける。磯や海岸の投げ釣りはリールの普及により広まった。トローリングや船釣りに欠かせない

リール
Riehl, Alois

[生]1844.4.27. ボルツァノ
[没]1924.11.21. ノイバーベルスベルク
オーストリアの哲学者。新カント派に属する。フライブルク,キール,ハレ,ベルリン各大学教授を歴任。認識論における心理主義に反対し,実証主義的立場から認識対象の実在性を説いた。

リール
reel

映画用フィルムを巻いておくための巻軸。巻いたフィルムがはずれないように,フィルム幅に合せたつばが両端についている。また一般写真撮影用ロールフィルムの手現像用タンクの部品で,ロールフィルムを巻く器具も現像リールという。

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367日誕生日大事典 「リール」の解説

リール

生年月日:1844年4月27日
オーストリアの哲学者
1924年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のリールの言及

【釣り】より

…こうしたさおの長さと調子は幾通りもあり,対象魚によりアユざお,マブナざお,ヘラブナざおなどと呼ぶものや,応用範囲の広さを示して磯の大物ざお,中小物ざお,渓流ざお,船(海)の深場用ざおなどという。 リールをつけるさおはリールざおというが,リールの機種(図b)とのバランスを考えなければならない。リールには両軸受型リール,片軸受型リール,スピニングリール,クローズドフェースリールがある。…

※「リール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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