日本大百科全書(ニッポニカ) 「タマキビガイ」の意味・わかりやすい解説
タマキビガイ
たまきびがい / 玉黍貝
periwinkle
[学] Littorina brevicula
軟体動物門腹足綱エゾタマキビガイ科の巻き貝。日本各地の海岸に分布し、潮間帯の岩礫(がんれき)上に群がってすむ。水中や空気中では運動しないが、波しぶきを受けると岩の上をはい回って餌(えさ)をあさる。乾燥に強く、水から離されても常温では1か月近くも生き、45℃の高温にも耐える。殻高14ミリメートル、殻径17ミリメートルに達する。殻は厚く、通常は灰黒色で黄白斑(はん)があり、体層に3本の強い螺肋(らろく)があるものが多い。産卵期は春で、中に通常1個の卵が入った浮遊性のヘルメット形をした卵嚢(らんのう)を産む。
エゾタマキビガイ科の日本産の種としては、外海の岩礫にすみ灰白色で小顆粒(かりゅう)が全面にあるアラレタマキビガイNodilittorina granularisや、灰黒色の地に白い顆粒のあるイボタマキビガイN. pyramidalisなど、19種が知られている。
[奥谷喬司]