デジタル大辞泉 「外海」の意味・読み・例文・類語
がい‐かい〔グワイ‐〕【外海】
2 海外の地。外国。
[類語]海・海洋・大洋・大海・海原・領海・公海・大海原・青海原・
長崎県南部、西彼杵(にしそのぎ)郡にあった旧町名(外海町(ちょう))。現在は長崎市北西部の一地域。旧外海町は1955年(昭和30)神浦(こうのうら)、黒崎(くろさき)の2村が合併、外海村となり、1960年町制施行。2005年(平成17)長崎市に編入。旧町域は、西彼杵半島の西岸に位置し、池島(いけしま)などの島嶼(とうしょ)を含む。角力灘(すもうなだ)を臨む海岸沿いに国道202号が走る。16世紀末からキリシタンの本拠地で、出津(しつ)、黒崎地区はほとんど全戸カトリックである。明治初年、ド・ロ神父Marc Marie de Rotz(1840―1914)によって布教救済事業が行われ、大平(おおだいら)には開墾地、出津には出津教会や養老院など、神父ゆかりの施設があり、一帯は出津文化村となっている。旧出津救助院は、ド・ロ神父が村人たちを救うため、私財を投じて設立した明治初期の授産・福祉施設で、のちに修道院となった。現在は、授産場、マカロニ工場、イワシ網工場(現、ド・ロ神父記念館)の3棟の建物が残り、国の重要文化財に指定されている。隠れキリシタンの資料などを展示する外海歴史民俗資料館などがある。また、外海は遠藤周作(えんどうしゅうさく)の小説『沈黙』の舞台となった土地としても知られ、2000年に遠藤周作文学館が開館した。大野教会、黒崎教会は文化財としても貴重な建物。海岸には標高180メートルに及ぶ海食崖(がい)の大城(おおじょう)・小城(こじょう)や仁崎(にざき)の景勝地があり、東部の山地には第二次世界大戦後の開拓地があり、ミカン園化が進められている。西方海上の海底炭田の島、池島の炭鉱は2001年に閉山。現在、池島炭鉱跡は体験型の観光地となっている。
[石井泰義]
〔世界遺産の登録〕出津集落と大野集落は、2018年(平成30)、ユネスコ(国連教育科学文化機関)により「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産として、世界遺産の文化遺産に登録された(世界文化遺産)。
[編集部 2018年9月19日]
『『外海町誌』(1974・外海町)』
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