ターバン(読み)たーばん(英語表記)turban

翻訳|turban

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ターバン」の意味・わかりやすい解説

ターバン
たーばん
turban

(1)おもに中近東の男子イスラム教徒を中心とした被(かぶ)り物で、細長い布や、地方によっては四角い布を、頭部に直接巻き付けたり、半球状の帽子などの上から巻き付けて形づくる。素材は、絹、木綿羊毛、麻などの薄手のもので、長さ5~7メートルを用い、色や巻き方によって、社会的地位や職業、民族などの違いが現れる。巻いた布の端は、内側に押し込んだり、一方だけ垂らしておいたりする。この布はターバンスカーフともいう。(2)婦人用帽子で、18~19世紀に現れたターバンに似た形のもの。ナポレオンが第一帝政時代にエジプトへ遠征し、羽飾りや豪華な材質をもたらした影響を受け、柔らかい布製で頭部にぴったりした形の帽子に、ターバンのようなひだづけをしたり、プリーツをとったりして羽や植物を飾った。同じようなターバン状の帽子は、1930年代から40年代にも現れているが、それ以後50年代にも服のデザインにあわせてかぶられた。また70年代になって一時流行したことがある。ターバンハットともいう。(3)中米を中心に現地の女性が、ターバン状にしてかぶる色鮮やかな四角い大きな布。

 ターバン状に布を頭に巻くのは、紀元前オリエントにすでにみられるが、ペルシアミトラがターバンの原型であるという説もある。ターバンはトルコ語のtürbendやペルシア語のdulbandから発した語で、古い英語では、torbantといった。

[浦上信子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ターバン」の意味・わかりやすい解説

ターバン
turban

本来イスラム教徒男性のかぶりものであるが,中央アジア,パキスタン,インド,北アフリカに広まった。幅約 25cm,長さ5~10mのモスリン亜麻布,木綿,絹などの薄地を,ひだづけしながら頭のまわりに巻きつける。その方法,形,色,柄,装飾などは時代,民族,階級などによって一定しないが,ひだづけした柔らかいふくらみをもつチューリップ状のものという点では共通している。ターバンの類型はすでに前 2000~1000年のバビロニアアッシリアにみられ,古代ペルシアを経てほぼ 14世紀のトルコを中心に確立した。本来男性専用であったが,18世紀末以後は婦人帽にも採用され,布地を柔らかくひだづけしながら巻きつける方式の帽子の総称となった。語源はトルコ語の tülbend。

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