改訂新版 世界大百科事典 「ポアレ」の意味・わかりやすい解説
ポアレ
Paul Poiret
生没年:1879-1944
フランスのファッション・デザイナー。パリに生まれ,ジャック・ドゥーセの店で修業した。芝居好きでサラ・ベルナールの衣装をデザインして認められた。1906年のギリシア調のドレスで女性をコルセットから解放したことは服装史上画期的なことであった。また緩やかな東洋風のキモノやパンタロンなどをとり入れ,オリエンタル・ブームを巻き起こした。それは当時のバレエ・リュッスの人気と重なっていた。ポアレはジョルジュ・ルパープなどの画家にオリジナルなファッション画を描かせ,またファッション・ショーを開くなど,次々に話題を集め,ファッションを社会的事件にした。マネキン・ガール(マヌカン,ファッション・モデル)を使ったのも彼が初めてといわれる。〈ファッションの王様〉といわれた彼は,衣服だけでなく,ロジーヌという香水をつくったり,ぜいたくなクラブをつくったりした。しかし1920年代に入ると,シャネルをはじめとする新しいデザイナーが進出し,シンプルなデザインがはやり,ポアレの豪華なデザインの時代は終りを告げた。
執筆者:海野 弘
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報