チアン・ウェン(読み)ちあんうぇん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「チアン・ウェン」の意味・わかりやすい解説

チアン・ウェン
ちあんうぇん / 姜文
(1963― )

中国の俳優・映画監督。軍人の父と音楽教師の母のもと、1月5日、河北(かほく/ホーペイ)省唐山(とうざん/タンシャン)に生まれ、6歳のときに北京(ペキン)へ移住。演劇に関心をもち、1980年に中央戯劇学院に入学。1984年の卒業後は、中国青年芸術劇院に所属して舞台俳優の道を歩み出すが、1986年、『悲劇の皇后 ラストエンブレム』で映画出演を果たすや、同年の謝普(シェチン)監督の『芙蓉鎮(ふようちん)』と張藝謀(チャンイーモウ)監督の『紅いコーリャン』で相次いで主演を務めて注目され、映画俳優として世界的な知名度を獲得する。1994年の『太陽の少年』で監督業に進出し、ベネチア国際映画祭主演男優賞を受賞。続く『鬼が来た!』(2000)で日中戦争下の村を舞台に日本兵と中国人との奇妙な関係を描き、カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリを受賞するが、国内審査を通過せずに出品させたとして国内上映禁止の処分を受ける。俳優、監督いずれの分野でも今日まで旺盛(おうせい)な活動を続けており、2010年には『さらば復讐(ふくしゅう)の狼たちよ』で監督・出演・脚本の3役をこなしている。

[石坂健治]

資料 監督作品一覧

太陽の少年〈陽光燦爛的日子〉(1994)
鬼が来た!〈鬼子来了〉(2000)
陽もまた昇る〈太陽照常昇起〉(2007)
ニューヨーク、アイラブユー New York, I Love You(2009)
さらば復讐の狼たちよ〈譲子弾飛〉(2010)

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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